元気ですか〜!?
どうも、ろけねおです。
今回ご紹介いたします本は、外山滋比古さんのお書きになった出会いについてのお話です。
乱読のセレンディピティ
書店をぶらぶら歩いていると、ふと目に飛び込んでくる本ってありませんか?
今回ご紹介する外山滋比古さんの『乱読のセレンディピティ』は、ボクにとってまさにそんな一冊でした。
著者の名前も、本の存在自体も知らなかったのですが、「乱読」と「セレンディピティ」という、一見すると結びつかないような単語の組み合わせに、なぜか強く心を惹かれたのです。
※大変有名な方であることを後で知りました。
セレンディピティとは、「素敵な偶然に出会ったり、予想外のものを発見したりすること」。
この本との出会いそのものが、まさにセレンディピティだったのかもしれない。
そんな予感を抱きながらページをめくり始めると、その予感は確信に変わりました。
この本は、ただの読書術を解説した本ではなかったのです。
この記事では、ボクが『乱読のセレンディピティ』を読んで「面白い!」と感じたポイントや、どんな人にこの本がおすすめなのかを、じっくりと語っていきたいと思います。
『乱読のセレンディピティ』の基本情報
まずは本書の基本情報と、著者である外山滋比古さんについてご紹介します。
著者:外山滋比古(とやま しげひこ)さんについて
1923年生まれの英文学者、文学博士、評論家、エッセイスト。専門の英文学にとどまらず、思考法や日本語論の分野でも数多くの著作を発表されています。特に、ミリオンセラーとなった『思考の整理学』は、多くのビジネスパーソンや学生に読み継がれる名著として有名です。
作品について
- 出版社 : 扶桑社
- 発売日 : 2016/9/29
- 文庫 : 227ページ
本書は、サブタイトルに「思いがけないことを発見する能力」とあるように、読書を通じていかにして新しい発想やアイデアを生み出すか、そのための思考法を説いた一冊です。
ここが面白い!『乱読のセレンディピティ』3つのポイント
この本、正直に言うと少し理屈っぽいです。
しかし、その理屈っぽさこそが、読み進めるほどに心地よくなる不思議な魅力を持っています。
もし、この知的な刺激を「面白い」と感じられなければ、少し退屈に感じてしまうかもしれません。
ボクが特に「なるほど!」と膝を打った、本書の面白いポイントを3つに絞ってご紹介します。
1. 新しいアイデアは「乱読」から生まれる
タイトルにもなっている「乱読」
本書では、この乱読こそが新しい発想を生むための重要な方法だと説かれています。
ボク自身、思い返してみればそこそこ「乱読」派であったりしました。
しかし、それは意識してやっていたわけではなく、単に興味が散らかりやすいだけのことで、むしろ、好きなジャンルに偏りがち。
特に速読術に関する本ばかり読んでいた時期もあります。
知っている内容だとスラスラ読めるので、速読が上達した気になって嬉しくなってしまうんですよね。
しかし、本書によれば、それではダメなのだと。
これからの時代は、AI(コンピュータ)にはできない、人間ならではの発想力や企画力が求められます。
全く新しいものをゼロから生み出すのは至難の業ですが、「すでにあるAという知識」と「一見無関係なBという知識」を組み合わせることで、新しいCというアイデアは生まれるのです。
この「組み合わせ」の斬新さは、AとBの距離が遠ければ遠いほど増します。
同じジャンルの本ばかり読んでいては、知識の距離が近すぎて、ありきたりな発想しか生まれません。
だからこそ、様々なジャンルの本を脈絡なく読む「乱読」が有効なのです。
専門分野を深めることも大切ですが、時には全く関係のない分野の本に手を伸ばす。
その勇気が、思わぬ化学反応を引き起こすきっかけになるのかもしれません。
2. 知識を溜め込むな!「知的メタボ」を防ぐ思考法
本書の中で、特にハッとさせられたのが「知的メタボ」という言葉です。
一般的に「物知り」は頭が良いとされますが、外山さんは知識をただ溜め込むだけの状態を「知的メタボ」と呼び、警鐘を鳴らしています。
せっかくインプットした知識も、使わずにしまい込んでいるだけでは、ただの贅肉になってしまうのです。
では、どうすれば知的メタボを防げるのか?
答えはシンプルで、「インプットしたらアウトプットする」こと。
そして、循環させることが大切だと述べられています。
まさに今、ボクがこうしてブログを書いている行為も、知的メタボを防ぐための健康的な知的生活の一環と言えるでしょう。
本を読んで得た知識を、自分の言葉で整理し、発信する。このプロセスを経ることで、知識は単なる情報から、使える「知恵」へと昇華されます。
さらに面白いのは、「アウトプットしたものは、スカッと忘れてしまってもいい」とまで言い切っている点です。
これは、パソコンのデスクトップを想像すると分かりやすいかもしれません。
デスクトップに無数のアイコンが散らかっていると、本当に使いたいファイルを探すのに時間がかかりますよね。
人間の頭も同じで、不要な情報が詰まっていると、本当に大切な知識を引き出すのに時間がかかってしまうのです。
本当に自分にとって重要な知識は、忘れようとしても忘れないもの。
だからこそ、アウトプットを終えたら一度手放し、頭の中に新しい知識を入れるためのスペースを空けておくことが大切だというわけです。
3. 失敗が発見に変わる「セレンディピティ」の実例
本書では、セレンディピティを「思いがけないことを発見する能力」とし、科学分野での有名な実例を挙げて解説しています。
- ペニシリンの発見:細菌学者フレミングが、培養実験の失敗(ブドウ球菌の培養地にアオカビが生えてしまった)から、アオカビが細菌を殺す物質(ペニシリン)を生み出すことを発見した話。
- イルカの意思疎通:脳科学者ジョン・C・リリーが、イルカの脳の大きさに着目し、彼らが人間のような言語でコミュニケーションを取っている可能性を発見した話。
ペニシリンの話はぼんやりと知っていましたが、イルカの話は初めて知り、これだけでもこの本を読んだ価値があったと感じました。
これらの例から学べるのは、セレンディピティは単なる幸運ではないということです。
フレミングやリリーには、目の前の「失敗」や「偶然」を見過ごさない鋭い観察眼と、常識にとらわれない探究心があったからこそ、世紀の大発見に繋がったのです。
乱読によって多様な知識を得ることは、この「観察眼」を養う訓練になるのかもしれないと感じました。
この本はどんな人に合う?他の読書術との違い
本書のサブタイトルには「読書術」とありますが、いわゆる速読や多読のテクニックを期待して読むと、良い意味で裏切られます。では、この本はどんな人におすすめで、他の読書術の本とは何が違うのでしょうか。
こんな人におすすめ!
- 新しいアイデアや企画が出せずに悩んでいる人
- 自分の読書がマンネリ化していると感じる人
- 知識をインプットするばかりで、活用できていないと感じる人
- 思考を整理し、頭の中をスッキリさせたい人
- 知的好奇心が旺盛で、物事の原理原則を知るのが好きな人
一つでも当てはまるなら、きっと楽しめるはずです。
他の読書術の本との違い
一般的な読書術の本が「いかに効率よく、多くの知識をインプットするか」という”量”や”速さ”に焦点を当てているのに対し、『乱読のセレンディピティ』は「インプットした知識をいかに化学反応させ、新しいものを生み出すか」という”質”や”思考法”に重きを置いています。
例えるなら、前者が「食材を効率よく集める方法」だとすれば、本書は「集めた食材を組み合わせて、誰も食べたことのない絶品料理を作る方法」を教えてくれるようなものです。
読書のテクニックだけでなく、その先にある「思考の整理」や「発想」まで踏み込んでいる点が、本書の最大の特徴と言えるでしょう。
『乱読のセレンディピティ』を読んでみよう
この本との出会いこそ、あなたにとってのセレンディピティになるかもしれません。
偶然をチャンスに変える読書術、ぜひ体験してみてください。
偶然の出会いをチャンスに変える一冊
今回は、外山滋比古さんの『乱読のセレンディピティ』をご紹介しました。
この記事のポイントをもう一度おさらいします。
- 多様なジャンルを読む「乱読」が、新しいアイデアの源泉になる。
- 知識は溜め込まず、アウトプットして循環させることで「知的メタボ」を防ぐ。
- 偶然の発見(セレンディピティ)は、鋭い観察眼と探究心から生まれる。
この本を読んでから、ボクはこれまで以上に、専門外の本を手に取るのが楽しくなりました。一見、無関係に見える知識が、いつかどこかで結びつき、新しいアイデアの種になるかもしれない。そう思うと、日々の読書がまるで宝探しのようにも感じられます。
もしあなたが、日々の業務や生活の中で「何か新しい発想が欲しい」と感じているなら、この本はきっと、そのための強力なヒントを与えてくれるはずです。
さあ、あなたも「乱読」の世界へ、一歩踏み出してみませんか?
それではまた。
ありがとう!
