元気ですか〜?!
どうも、ろけねおです。
今回読ご紹介いたします本は、生物学者であり、特に「歌う生物学者」としても広く知られている本川達雄さんのお書きになった本でございます。
ゾウの時間 ネズミの時間 サイズの生物学
学生時代、ボクは理系ではあったのですが、生物学には全く興味がありませんでした。
むしろ動物はあまり好きではなかったんです。
それが後に妻の影響で犬を飼うことになり、だんだん動物が好きになりはじめまして今に至ります。
それで少しアカデミックに動物に触れてみたいという気持ちになりまして、名著と名高い本書を読んでみることにしました。
本書の概要
本川達雄著『ゾウの時間 ネズミの時間 サイズの生物学』は、動物の「サイズ」と「時間」の関係性に焦点を当てて生物の設計原理をやさしく解説した名著です。
著者の本川達雄さんは1948年生まれの日本の生物学者で、東京工業大学名誉教授です。
またシンガーソングライターとしても知られているユニークな方なんですね。
本書は1992年8月1日に中央公論新社から発売された新書で、230ページの中に生物学の面白さがギュッと詰まっています。
内容は「動物のサイズと時間」から始まり、「サイズと進化」「エネルギー消費量」といった基礎的なテーマから、「走る・飛ぶ・泳ぐ」「なぜ車輪動物がいないのか」といったユニークな疑問まで、全14章にわたって展開されています。昆虫や棘皮動物といった多様な生物が登場し、動かない動物たちについても考察されているんです。
生物学の壁にぶつかる
読み始めてすぐに、自分にはまだ早いというのがわかりました。
科学って嫌いじゃないつもりなんですけども、楽しいよりも先にしんどいが来てしまうんですよね。
目次を見た時点で、凄いボリュームだなと、ちょっとクラクラしました。
いつものようにわからないところは、ゆっくり読もうがさっさと読もうがわからんので、飛ばしてしまいました。
説明を読んでもさっぱりだったり、そもそも全く興味の湧かないことだったので、そこは正直読んでません。
体重が増えると時間が長くなる?
本の中にこういう一文が出てきます。
「体重が増えると時間は長くなる」と。
パッと見た時に、妻よりボクの体重が倍ほどあるので、ボクのほうが幾分長生きなのかと思っていたら、そういうことではありませんでした。
心臓の打つ回数はどんな動物もみんな一緒で、ちっこい動物のほうが心臓を打つ速度が速いので、速く逝ってしまうということだったんです。
妻とボクは同じ人間ですから、大して違わないでしょう。
本書によると、一生の間に心臓は二〇億回打つという計算になるそうです。
現時点でボクは一体何回ほどドキドキしているのでしょうか。
それであとどのくらいで「おさらば」となるかがわかるということですね。
太ってるとムダにドキドキするので、長くは生きられないということなんでしょう。やっぱり痩せるべきだなと思いました。
サイズが大きいことの意味
「ゾウの祖先はイノシシぐらいの大きさだった」という記述を読んだ時、マンモスはホンマはそんなに小さかったんか、ヘ~なんて思っていたら、そのマンモスの祖先の話でした。
勘違いですね。
本書には「背が高く、給料が高く、学歴も高く、という世の女性の高のぞみは、動物学的にももっともなものに思えてくる」という一文があります。
サイズが大きいと生きて行くのに有利であるということで、そういう子孫を残そうとするから3高に人気が集まるということなんですね。
給料が高いというのも、学歴が高いというのも、優れた種であるかどうかを測る指標なので、人気になるのは当然だと。
ひがんでても仕方ないというワケですな。生物学的に当たり前なのだから、これは納得するしかありません。
島国の生物学
本書には「一面だけの事実が指し示す方向が、必ずしも正しい方向ではないことを、いつも忘れないようにしたものだ」という言葉があります。
仰る通りだと思いました。
島に住んでいる動物と大陸に住んでいる動物とでは、サイズに違いが見られるそうです。
島に住んでるほうが小さくなるらしいんですね。
つまり、日本人が小さいのは当たり前のコトだと。
で、考え方の違いにも住んでる場所の影響が出るんだそうです。
考え方までちっこくなってはイヤなので、世界を知りたいとちょっとだけ思いました。
海外旅行に行きたくなりましたね。
本書によると「島国という環境では、エリートのサイズは小さくなり、ずばぬけた巨人と呼び得る人物は出てきにくい。
逆に小さいほう、つまり庶民のスケールは大きくなり、知的レベルは極めて高い」とのこと。
世界的に観ると日本人は勤勉だとか昔は言われてましたが、生物学的にも知的レベルは高くなりがちなんですね。
政府は移民を積極的に迎え入れようとしているけども、こういうのを読みますと不安いっぱいになります。
著者は「これまで日本人がつちかってきた島で生活していくうえでの知恵は、これからの人類にとって貴重な財産になるべきだ」と述べています。
日本独特のものってたくさんあるもんね。日本人である我々はついつい軽視してしまいがちですが、大切にしたいものです。
人間を動物として見てみると
日本の人口密度ほどギュウギュウに住んでいる動物はどれほどのサイズかと計算してみると、体重はたった一四〇グラムになるそうです。
動物というのは、みんなでエサを食ってもエサがなくならないくらいの密度を保って生きてるらしいんですが、その法則で計算したら人間は140グラムになってしまうという話です。
動物たちのほうが随分ゆったりとした生活をしてるんだな~と思いますね。
「ヒトのサイズの動物の行動圏の大きさを計算して、現実と比べてみよう」という実験では、半径2キロの円に対応するという結果が出ています。
歩いてウロウロできるのが大体半径2キロということですね。
車がなかった時代は大体これくらいの範囲で生活をしていたということです。
我々の世界は随分広くなりました。
本書には「哺乳類は、食うため以外にはうろうろしないのがふだんの生活態度である」とあります。
つまり食べ歩きという行為は哺乳類として当然だということか。
なんだか楽しいのは当たり前のコトだからだな、きっと。
「目的なしに、ヒトは動きはしないだろう」というのも、当たり前と言えば当たり前だけども、そんな当たり前のコトを当たり前だと知ると何だか嬉しい感じになります。
生物界の不思議
「生物界には車輪がない」という指摘も面白かったです。
『コブラ』というマンガに車輪のついたというか、車輪そのものの牛が出て来たのを思い出しました。
本書によると「車輪というものは、かたい平坦でまっすぐな幅広の舗装道路を造ってはじめて使い物になる」とのこと。
確かに『コブラ』に出て来た車輪の牛が住んでる星は、ガッチリ舗装されている星でしたが、アレは動物学的に正しかったんですな。
寺沢武一先生恐るべしです。
「地上で自由に飛んだり駆けたりしている動物は、そう多くはいない」という事実も意外でした。
夕方にコウモリを大量に見れるので、結構いる気がしていましたが、実は水の中や土の中に比べると、随分少ないんだそうです。
「だから葉っぱだけで生きていこうとしたら、物凄く大量の葉をバリバリ食べることになる」という話も興味深かったです。
葉っぱから栄養を取り込むのは実に大変なコトなんだそうで、いっぱい食べんと栄養失調になってしまうんだそうです。
いろんなモノから栄養が取れてラッキーですな、我々人間は。
青虫なんて食いまくるだけの人生だもの。それも悪くないか?
一番ビックリした話
恥ずかしながら「宝石のサンゴ」なるものがあることも知らなかったんですが、そのサンゴがなんとヤギの仲間っていうので、この本を読んでて一番ビックリしました。ヤギって山羊か?
「ヤギは造礁サンゴのように群体性の動物で~」という説明があるので、山羊ではなかったみたいですが、この説明でもさっぱりわかりませんでした。
ちなみにこの本にはヤギの写真もありましたので、わかる人には「あ~アレか」ってなると思いますが、ボクにはさっぱりでした。
知的好奇心を満たす本
ボクの場合はアホすぎて、この本を味わい尽くすことはできませんが、ある程度の知的好奇心は満たすことができました。
同じようにこれまでに読んだもので知的好奇心を満たす本をご紹介します。
お医者さんが医者にかかるなと警笛を鳴らしている本です。
すでにお医者さんにかかり続けているボクにとっては衝撃でした。
こちらは数学のことが苦手だった人こそ読んでほしい本です。
『ゾウの時間 ネズミの時間 サイズの生物学』では途中混乱してすっ飛ばしてしまったボクでしたが、それはあまりに生物学寄りの話にしんどくなったからですが、『フェルマーの最終定理』ではそういうしんどくなる場面は存在しません。
大河ドラマを楽しむように読めて、これが数学の話だったことを忘れてしまいます。
この本から学んだこと
本書には「生き生きとした自然に接してないと、人間はどうもすぐに頭の中を見つめ始め、そして抽象的になっていくもののようだ。抽象的になりはじめると、止めどなく思考のサイズは大きくなり、頭でっかちになってく」という言葉があります。
どんどん頭でっかちになっていってると思います。
本を読むようになって知らなかったことをいろいろ知ることが出来て、楽しいことが増えたことには違いないけども、知ったことを自分のものとして使えないと意味がありません。
自然と相対することで自分が未熟であることを知るのは、実にいいリフレッシュになると思います。
正直なところ、動物の話は映像付きのほうがありがたいかなと感じました。
知らない動物の話を例に挙げて説明されてもイマイチピンと来ませんし、理解するのに苦労する部分も多かったです。
それでも、普段何気なく見ている動物たちの背後に、こんなにも深い生物学的な理由があるんだということを知れたのは大きな収穫でした。
「人間も動物である」という当たり前のことを、改めて実感できる一冊だったと思います。
動物好きになってきた今だからこそ、もう少し易しい生物学の本から始めて、いつかまたこの本に挑戦してみたいですね。
その時にはもっと深く理解できるかもしれません。
犬を飼っている方、動物に興味を持ち始めた方には、難しいけれども読んでみる価値のある本だと思います。
それではまた。
ありがとう!