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【読書感想文】新日本プロレスV字回復の真実。棚橋弘至が貫いた「丁寧さ」と「ポジティブシンキング」とは

元気ですか〜?!

どうも、ろけねおです。

今回ご紹介いたします本は、新日本プロレスの現在の社長である棚橋弘至さんの本でございます。

棚橋弘至はなぜ新日本プロレスを変えることができたのか

ボクは幼い頃からのプロレスファンでしたが、ちょうど棚橋弘至選手がデビューした頃、2000年代初頭に一度プロレスへの興味を失ってしまいました。

当時の新日本プロレスは、永田裕志選手がエースとなり、次に棚橋弘至選手がエースになりそうだ、という流れが見えていました。

正直に言うと、それが主な理由で新日本プロレスを見なくなってしまったのです。

当時のボクには、彼らが(特に棚橋選手が)新日本のエースであるイメージが、どうしても湧きませんでした。

しかし、2012年。

オカダ・カズチカ選手の登場、いわゆる「レインメーカーショック」によって、ボクは再び新日本プロレスの熱狂の渦に戻ることになります。

ですから、ボクの中では「新日本プロレスを変えたのはオカダ・カズチカという大スターの出現が原因である」という考えが強くありました。

ところが、今回ご紹介するこの本。

『棚橋弘至はなぜ新日本プロレスを変えることができたのか』

このタイトルは、ボクが子供の頃に見ていた新日本プロレスから、現在の新日本プロレスに変化したのは棚橋弘至選手である、と主張しているのです。

これは、読まずにはいられません。

ボクの考えとは異なる視点。

そして、新日本プロレスファンであるならば、この「変革の真実」を知っておかなくてはまずい。そんな思いが湧き出し、本書を購入するに至りました。

書籍の基本情報

まずは本書の基本情報からご紹介します。

著者について

著者は、もちろんこの方、棚橋弘至さんです。

「100年に1人の逸材」

「太陽のエース」

として新日本プロレスを牽引してきた、日本を代表するプロレスラーの一人です。

岐阜県大垣市出身で、立命館大学法学部を卒業後、1999年にプロレスデビュー。

輝かしい実績だけでなく、2023年12月からは新日本プロレスリング株式会社の代表取締役社長にも就任されています。

まさにリングの上でも外でも新日本プロレスを動かす存在です。

書籍情報

本書は、飛鳥新社から2015年12月に発売された文庫本です。全288ページと、しっかりとしたボリュームがあります。

暗黒時代、棚橋弘至は何を考え、実行したのか

本書には、新日本プロレスが「暗黒時代」と呼ばれ、迷走し低迷していた時期に、棚橋弘至選手が何を考え、何を実行してきたのかが詳細に綴られています。

当時、新日本プロレスが低迷している時、内部の人間が「会社批判」をするほうが楽だった、と棚橋選手は語ります。

マスコミやファンと一緒になって会社を批判すれば、「こいつはわかってる」「状況を冷静に判断できている」という共感や評価を得やすかったからです。

しかし、棚橋選手は「それを内部の人間がやってしまうのは絶対に違う」と強い信念を持っていました。

あの頃のレスラーに必要だったのは、第三者的な冷めた批判ではなく、「会社をこう変えていくんだ!」という前向きで具体的なメッセージだったはずだと。

棚橋選手は「根性でここまでやってきた」と言います。

それは彼一人だけではありませんでした。

中邑真輔選手(当時)も、真壁刀義選手も、ずっと新日本プロレスで戦い続けてきたレスラーたちは皆、「何が何でも新日本をよくしていくんだ」という強い思いを共有していました。

もし彼らが「できない理由」ばかりを列挙して、途中で諦め、放り出してしまっていたら、新日本プロレスはあそこで終わりだったでしょう。

彼らが耐え抜き、守り抜いてきたからこそ、今の新日本プロレスがあるのです。

出口の見えない暗いトンネルの中で、棚橋弘至が考え、実行したこと。

名門を復活へと導いた「100年に1人の逸材」が、その全てを明かす内容となっています。

再びファンになって感じた「エースの安定度」

ここからは、ボクが本書を読んで感じたことを書いていきます。

ボクは2002年あたりで一度プロレスファンを辞めましたが、その直前に棚橋選手の試合を観た記憶があります。

派手でイケメン。

だから新日本は彼をエースにしていくんだろうな、とは思いました。

しかし、それが当時のボクにはイヤでイヤでしょうがなかったのです。

「新日本プロレスのレスラーとして、このチャラチャラした感じで良いのか?」と、今思えば面倒なファン心理をこじらせていました。

それから約10年。

2012年にプロレスファンに戻ったきっかけは、前述の通りオカダ・カズチカ選手の圧倒的な素晴らしさでした。

ですが、そのオカダ選手以上に素晴らしい、いや、「凄い」と思ったのが、他ならぬ棚橋選手だったのです。

試合内容、技の正確性、そして何よりその「安定度」。

ボクがこれまで観てきた数多くのプロレスラーの中でも、ナンバーワンではないかと思うほど、そのレベルがズバ抜けて高いと感じました。

ところで、この本の中では「安定度が素晴らしいレスラー」として、ヒロ斎藤選手が紹介されています。

ヒロ斎藤さんと言えば、いぶし銀のバイプレーヤー(脇役)です。

しかし、棚橋選手はエースです。新日本プロレスの看板レスラーです。

その「軸」であるエースが、誰よりも抜群の安定感を誇っている。

それはつまり、新日本プロレスという団体そのものが安定しているということです。

そりゃ、新日本プロレスが面白くないわけがないんです。

かつてボクが「チャラチャラしている」と切り捨てたレスラーは、団体の屋台骨を一人で支える、とてつもない安定度を持ったエースになっていました。

常に「丁寧」であることの重み

本書では、過去に棚橋選手が起こしてしまったある出来事(ファンならご存知の件かと思います)についても、ちゃんと触れられています。

そこから逃げずに、自分の言葉で記述する彼の真面目さ、プロレスファンに対する真摯な姿勢が伝わってきて、ヒジョ〜に好感がもてました。

盛り上がってきた新日本プロレスに水を差すことになるかもしれない。

それでも、その件がずっと気になっている一部のファン(ボクもここに入ります)に向けて、丁寧に説明する道を選んだのです。

棚橋選手は、本書の随所で「いかなることも丁寧に」を心がけていると語っています。

その姿勢がここにも表れていました。

閉塞感を破ることに「特効薬」はない

「閉塞感の破り方、教えます。」

これは本書の帯に書かれているキャッチコピーです。

閉塞感を感じやすい現代の日本において、非常に魅力的な言葉です。

しかし、残念ながら、その方法に「必殺技」はありませんでした。

棚橋選手が示した答えは、ただ一つ。

「できることを、シッカリと、丁寧に、真摯にやる」

今、自分が取り組んでいることをキチッとやる。ただそれだけ。

簡単そうに思えますし、「特効薬」を期待してこの本を読んだ人は、ガッカリするかもしれません。

でも、考えてみてください。「24時間、常に真摯に、丁寧に」という姿勢を貫くことは、どう考えても簡単なことではありません。ボクらはどこかで手を抜くこと、楽をすることを考えてしまうものです。

それをやり抜いたからこそ、棚橋選手はエースとして新日本プロレスを引っ張ってくることができ、新日本プロレスはV字回復を遂げたのでしょう。

何かにつけて「丁寧さ」を大事にしていると語る棚橋さん。

ボク自身に最も欠けているものが、まさにその「丁寧さ」だと痛感しました。

今までは、丁寧さがないことを「ワイルドだ」などとポジティブ(?)に考えていましたが、それは若いうちだけ。

ボクももうおっさんです。

これからは何事も丁寧に、真摯に取り組むことを心がけようと、深く反省させられました。

「本物のポジティブシンキング」とは何か

本書では、ポジティブに物事を捉えることについても書かれています。

しかしそれは、「何でもかんでもポジティブに考えれば良い」ということでは、決してありませんでした。

ポジティブシンキングというと、無理やりにでも「これは良いことなんだ」と思い込もうとすることのように考えがちです。

棚橋選手は、そういうことではない、とおっしゃいます。

まず「事実は事実としてシッカリ受け止める」こと。これをしないとヒジョ〜にマズい、と。

なぜなら、事実を受け止めることをしないと、どうしたってポジティブに捉えられないような(自分にとって都合の悪い)ことが出てきた時に、それを「なかったこと」として無視してしまうからです。

「なかったこと」にしたら、そこから反省も改善も生まれません。
つまり成長ができないわけで、結局は閉塞感など破れないのです。

事実無根の誹謗中傷は無視しても良い。

しかし、ファンがプロレスのことを本気で考えての「批判」は、キッチリと受け止めて改善を心がける。

ボクらも批判をされるとカチンと来て、つい感情的になりがちです。

しかし、そこで一歩立ち止まり、まずは事実をしっかり受け止めることが大事なのだと学びました。

プロレスファンだからといって、何でもかんでも褒め称えるだけでは、きっとプロレスはダメになります。

ボクもファンとして、前向きな、ポジティブな批判(提言)をしていこうと思いました。

棚橋弘至というレスラーこそが「ストロングスタイル」

ボクがファンを辞める前、棚橋弘至というレスラーは「新日本プロレスらしからぬ」レスラーに見えていました。

チャラチャラした見た目。そして「ストロングスタイル」と言われる、バチバチで過激なプロレスとは真逆にも見える、ある意味で地味なファイトスタイル。

「こいつが新日本の次世代のエースか…」と本気でガッカリしたものでした。

しかし、この本を読み、そして今の棚橋選手の試合を観て、よ〜く考えてみると、新日本プロレスの創始者であるアントニオ猪木さんのプロレスも、実はかなり地味(グラウンド中心)なんですよね。

猪木さんは感情の出し方や観客の煽り方が非常に上手く、試合ではハプニングがよく起こり、そして何より徹底的に相手の技を受け切るから、何となく「激しい戦い」をしていた印象が強いのです。

さらに、本書によれば、棚橋さんは猪木さんの正当な後継者の一人である藤波辰爾さんのスタイルを継承しようとしているそうです。

加えて、ファイトスタイルとしてはクラシカルなアメリカンスタイルも取り入れた武藤敬司さんの付き人も経験しています。

そう考えると、棚橋選手は、まさに新日本プロレスのど真ん中を歩む「正当な継承者」なのではないか。

ボクは完璧に見た目に翻弄されて、その本質を見誤っていたのです。

若い時から藤波スタイルを目指していたという棚橋さん。

ただ、藤波さんのスタイルはキャリアを重ねてこそ輝くもの。

若い棚橋さんが実践するには、少し早かったのかもしれないな、とは(ストロングスタイルの正統継承者だとわかった今でも)思います。

今、まさにベテランの域に入ってきた棚橋さんだからこそ、そのスタイルが板についてきて、眩しいほどに輝いているんですね。

(最近はコンディションが万全でない状態で試合をされている気がするのが少し心配ですが…) まずはケガをキチンと治してから、またあのキレのあるレスリングを見せて欲しいと切に願っています。

新日本プロレスに棚橋弘至がいてくれて良かった

この本を読み終えて、心の底から思ったこと。

それは、「新日本プロレスに棚橋弘至という人がいて、本当に良かった」ということです。

ボクは当初、新日本プロレスを変えたのはオカダ・カズチカ選手だと思っていました。

しかし、この本を読んで、そのオカダ選手が、そして今の新日本プロレスが輝くための「土台」を作り上げたのは、間違いなく棚橋弘至選手だということが分かりました。

「丁寧に、真摯に、前向きに」

この姿勢を、最も苦しい時代に、トップとして貫き通したからこそ、新日本プロレスは奇跡のV字回復を成し遂げられたのです。

これは、プロレス界だけの話ではありません。

他の団体も、棚橋選手のような考えで行動できる選手が出現したら、きっと業界全体が盛り上がるはずです。

この本はボクらファンが読むだけでなく、今現在プロレスを仕事にしているすべての人が、まず読むべき一冊ではないでしょうか。

もちろん、ボクのようなプロレスファンにとっても、読み応え抜群の一冊です。

棚橋選手の考え方は、プロレスという枠を超えて、ボクたちの日常生活や仕事にも応用できるヒントに満ち溢れています。

今、何かしらの閉塞感を感じている人。 何かを変えたいと強く願っている人。

そんな人には、ぜひ手に取ってもらいたい一冊です。

新日本プロレスファンなら必読。

そして、何かに真摯に取り組みたいと考えているすべての人に、心からおすすめできる本です。

それではまた。

ありがとう!

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