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【読書感想文】センスは努力で身につく。『センスは知識から始まる』が教えてくれた希望

元気ですか〜!?

どうも、ろけねおです。

センスの問われる世の中になってきました。

今回はそんな時代フィットする本です。

センスは知識から始まる

センスがあると思いこんでいた理由と、その根拠のなさ

なんの根拠もないのに、「自分にはセンスがある」と思い込んで生きてきました。

自分の好んで着ていた服を誰かにマネされたり、流行る前に使っていたものが後から流行したりしたことがあったからです。

しかし、ふと冷静になってみると、「否、ない」。

この歳になって服装のことを考えると、体型の問題もあるとはいえ、何を着たら様になるのか、オシャレに見られるのか、ピンとこないのです。

センスが失われてしまったかのようでした。

洋服だけではありません。

言葉も若い頃は錯覚していた部分はあれど、ワードセンスがあるなぁと思っていたのに、最近はそもそも言葉そのものが出てこないのです。

これを老いと捉えるしかないのかもしれませんが、センスについても老いに抗いたい。

そんなときに出会ったのが本書『センスは知識からはじまる』でした。

ボクの世代と”センス”の関係

ボクと同世代のいわゆる団塊の世代ジュニアは、日本の中で一番数が多い世代です。

だからでしょうか、今と比べると流行が物凄く強調され、絶対的な力みたいな感じになっていました。

今は世代ごとに流行が違っていて、グラデーションがあるように感じます。

しかし、ボクが若い頃は圧倒的に数が多かったためか、流行一色でした。

つまり、皆が同じ服を着て、同じところに行き、同じものを食べていたのです。

そこにセンスを磨く必要がなかったといえます。

隣の人と同じものを着ていれば、同じところに行けば、同じものを食べれば、センスがあったことになったのです。

ボクは今も昔も少数派で、流行にあまり乗らないほうでした。

もちろん、流行っているもので自分がいいと思うのなら乗りましたが、流行っているからいいとは考えないタイプでした。

ゆえに、自分はセンスがいい、センスがあると思い込んでいたフシがあります。

『センスは知識からはじまる』基本情報

本書は、グッドデザインカンパニー代表でクリエイティブディレクターの水野学氏による著作です。

センスは生まれついたものではなく、あらゆる分野の知識を蓄積することで向上することを説いています。

顧客の嗜好が多様化する時代、スキルよりもセンスを磨くことで仕事を成功させるノウハウを紹介しています。

書籍情報

  • 出版社:朝日新聞出版
  • 発売日:2014年4月18日
  • 単行本:192ページ
  • 著者:水野学(クリエイティブディレクター、クリエイティブコンサルタント、good design company代表)

センスの正体は「ひらめき」ではなかった

ボクはこれまで、センスは天から与えられる”ギフト”のようなものだと思っていました。

でも本書では、それをバッサリ否定しています。

センスとは「数値化できない物事の善し悪しを最適に判断する能力である」とあるのです。

つまり、ひらめきではなく「知識」と「判断力」の積み重ねだというのです。

知識量=センスの良さという新しい視点

センスは如何にして磨かれるのかというと、知識の積み重ねによるものだということで、知識を増やすための方策が語られています。

効率よく知識を増やす三つのコツ

  1. 王道から解いていく
  2. 今、流行しているものを知る
  3. 「共通項」や「一定のルール」がないかを考えてみる

センスを磨くための知識を入れる時に、この方法を心掛けてモノを見たり本を読んだりすると、センスが磨かれていくのかもしれません。

判断力の磨き方―その仕組み

さらに面白いのは、「普通」という言葉の定義です。

普通=センスの良し悪しを判断する基準と定義されます。

これが判断する源泉となるのです。

これは、「普通=真ん中」と考えると納得しやすいです。

最も良いと最も悪いの間にあるのが「普通」。

つまり、センスの良し悪しは、突き抜けるか沈むかの差だということなんですね。

なぜ「センス」は一部の人にしかないと思い込んでしまうのか

本書では、センスが特定の人にしかないと思われがちな理由についても語られています。

それは、「上手・下手」という評価軸が原因だと指摘されていました。

国語や数学のような教科は「できる・できない」で評価され、成長の余地があります。

でも、芸術や運動は子どもの頃から「上手・下手」でラベルを貼られてしまい、「自分にはセンスがない」と諦める人が多いのです。

この評価構造が、センスを育てる機会を奪っているんですね。

教育の中でセンスを伸ばす訓練がされないまま大人になる。

それによって、実際にセンスなく育ち、センスがないと思い込んでしまう人が増えてしまったのです。

子どもの少ない現代日本においては、一人でも才能を伸ばしてもらわないと困るのに、現在の教育体系ではセンス無しの人間を量産することになっているのです。

技術の進歩に閉塞感を感じている筆者は、そんな時代に生き残るにはセンスが必要で、センスを爆発させた千利休のような人物の登場を待ち望んでいるということですが、本書が出て数年経ち、そんな人物は現れたのでしょうか。

人々の価値観を変えるほどの影響力を持つ人物が今の時代に現れるとは、残念ながら思えません。

センスの良さを追求するとストレスにある?その理由

磨き上げたセンスでお金儲けをしておられる著者の水野さんは、誰でも今からセンスを磨き上げることができると提唱されているのですが、その中で磨くために必要なことをいくつかご教示いただいています。

客観情報ほど大切なものはありません

これはつまり、自分の思い込みが邪魔になるという話なのですが、ボクはそもそも自分が「思い込んでいる」ということに、なかなか気が付かないんじゃないかと思えました。

だからこそ客観情報を入れないといけないということなのでしょうが、「思い込んでいる」ということはそれが正しいと思っているのですから、客観情報の入る隙間があんまりない気がします。

客観情報が大切であるという例として、自分の服を選ぶ時に好き嫌いで選ぶのではなく、自分にふさわしいものを選ぶというのがセンスがいいということになるというのが出てくるのですが、好きなものこそ自分にふさわしいと普通は考えてしまうのではないかと思っているので、好きだけどふさわしくないと判断するのが難しいです。

また、自分では気に入らない服でも自分にふさわしい服なら、それを着ると「センスが良い」となるってことですから、「センスが良い」となるのはストレスが溜まるもののようにも思えました。

ストレスを溜めてまで、センスを良くする方を選択するのは、ボクはやってもいいかもとは思えましたが、人によってはしんどいのではないでしょうか。

”精度”という急にふわっとする概念の正体

本書における何かの説明は全て、理路整然としていて、ボクにとってはわかりやすいものであったのですが、「精度」についての説明だけ、急にふわっとしたものになっていました。

センスが良いとなる要素には「精度」が高いこともあり、それは他人が見た場合に「なんかいい」になるということなのだそうですが、精度が高いというのはどういうことなのかがボクにはピンときませんでした。

丁寧に細部まで手を抜かないということなのだと解釈しました。

デザインを判断する人のセンスとは何か

センスを磨く必要があるのは、何もデザインを仕事にしている人間だけではなく、そのデザインの採用・不採用を決める人間にも必要なのです。

それは提示されたデザインを見た時に、デザイナーに対してこのデザインに行き着いた根拠を問う姿勢が大事ということなのです。

しかしながら、「精度」についての話のところで、精度が高いデザインは他人に「なんかいい」と思わせるものであるということなのですが、デザイナーの「なんとなく」などのふわっとした回答はよくないのだそうです。

しかしながら、「なんとなく」には「なんかいい」があって、それはデザイナーが言語化できないというだけで、それがデザインが良くない、センスがないとはならないんじゃないかと思ってしまいました。

でも、デザイナーには提示されたデザインに至った理由はちゃんと聞いたほうが、そのデザインについて議論でき、よりデザインを深めていくことが出来るでしょうから、いいんじゃないでしょうか。

本を読む前のボクが抱えていた課題

本を読む前のボクは、完全に直感だけで服選びをしていました。

何を着たら様になるのか、オシャレに見られるのか、まったくピンとこない状態だったのです。

センスが失われてしまったかのような感覚に陥っていました。

ワードセンスについても同じで、言葉そのものが出てこない状況でした。

老いに抗いたいと思いながらも、具体的にどうすればいいのかわからなかったのです。

本書のノウハウを実践してみた

本書では、センスを磨く方法として

  • 知識を積むこと
  • 好きな理由を掘り下げるワーク

が紹介されていました。

ボクは両方を実践してみることにしました。

知識を積む方法を試した結果

センスを磨くには、どんな知識かといえば、「普通」を知ることです。

どんなものにも振り幅があって、両サイドの先っぽがセンスがいいものとセンスが悪いものということになるかと思います。

このとき、その幅の真ん中あたりを「普通」と呼び、この真ん中の位置を正確に指し示すのが知識の積み重ねによって獲得できるということなのではないかと思います。

たとえば、服のセンスを磨きたいと思えば、いろんな服を知って服の世界の大きさというんでしょうか、そういうものを知るための努力をすることしかないのかなと。

となると、今日からスタートしたとて、明日どうにかなるってものでもないし、継続して知るための行動をしていくことが肝要であろうと思います。

そこで、今まで洋服に関しては磨く必要性を感じることもなかったのですが、服飾系のYouTubeを見たり、本や雑誌を読んだりするようになりました。

好きな理由を掘り下げる練習をしてみた

次に、ワークとして自分の好きなモノを上げて、その理由を書いて掘り下げていくというものがあります。

これはたまたまなんですけど、ボクは結構やっていたのです。

たとえば街ですれ違っただけの女性に今の人良いなと思うことがあります。

この時「なんで自分はこの人が好きなんだろう?」と考えてしまうことがあったのです。

好きに理由などない、とおっしゃる方もおられますし、ボク自身もそう考えていたところがあったのですが、最近は「いや、違う」と思うようになりました。

福山雅治さんのガリレオではありませんが、現象には必ず理由が存在するというように、ボクの好きにだって理由があるのだと考えるようになったのです。

そうすると、まず「いつから好きなんだろう?」と考えます。

53歳ですから、幼少期の記憶など欠片しか残ってないのですが、その欠片を拾い集めて、なんとか記憶を復元しようとしました。

結局のところ、母親に愛情をもって育てられたのが原因なのではないかと、たどり着きました。

自分の女性の好みは幼い頃の母の姿に影響を受けていたということに気がついたのです。

ボクが何となく好意を寄せてしまう女性の共通点、“好き”の根っこを知ることで、自分の好きなものと一般的に好まれる対象の距離感がわかるようになるのでセンスの判断軸を整えることになるのです。

実践した結果、生活はどう変わったのか

このワークによってセンスが磨かれているのかどうかは、実感としてはまだありません。

自然な垂直思考でセンスを磨く

ただ、この過程で「なぜだ?」を何度も重ねることで、論理によって思考を深めていく作業をします。

これに慣れておくと、何を考えるにしてもまっすぐ深く潜っていくような思考がナチュラルにできるようになってきたように感じます。

とにかく頻繁にファッションの話題に触れようと思いまして、Googleアラートでキーワードを「メンズファッション」にします。

すると、毎日5〜10件ほどのトレンドが届きますので、それを読むようにしています。

今でも何を書いているの理解が追いつかないところのほうが多いですが、読んでいくうちに興味の幅は広がっていますし、つまりはそれはボクのファッションに関する知識が増えているということで、これはセンスを磨くことになっているのではないかと思えます。

”選択した理由”を自分の中から見つける

そして、服選びについては明確な変化がありました。

以前は直感にだけ頼って服選びをしていましたが、少し知識が増えたことで、服を選ぶときに理由を見つけるようになったのです。

「なんとなく良い」ではなく、「この色は自分の肌の色に合っている」「このシルエットは体型をカバーできる」といった具合に、選択に根拠を持てるようになりました。

これは小さな変化かもしれませんが、ボクにとっては大きな一歩でした。

つまり、知識の積み重ねは横軸の広がりを認識して中心を探し出すための旅で、好きな理由を追求するのは縦軸の広がりを追うことで異なった思考の仕方を獲得することになり、これによりセンスが磨かれるのではないかと思うのです。

こうなったことによって、以前より服屋さんに行くのが楽しくなりましたし、アプリで服を見るのも楽しくなりました。

最終的な着地点の判断

これから「知識」が積み重なっていくことでありゆることで「普通(真ん中)」を定義しやすくなるでしょう。

また「好きな理由を掘り下げる」ワークにより「自分自身の判断軸(良い/悪いの基準)」が明確になっていきます。

この2つが揃うことで、「一般的に良いとされるもの(普通)」と「自分が本当に良いと思うもの(判断軸)」を比較できるようになります。

そうすると、その状況や目的に合わせて最適な着地点を判断できるようになるのです。

最適な着地点を判断することがセンスの良さになるのです。

こんな人におすすめしたい

センスを必要とする仕事についている方はもちろんのこと、特にセンスのなさが仇となるような気はしないけれど、あったらあったで良いかもなと思うような仕事についている方もまた、読むべきです。

そうなると、ほとんどの仕事がそうだと思うので、全ての働く人が対象でしょう。

たとえば、お客様から要望も言葉のまま捉えるのではなく、真意や本質が掴めるようになりやすくなるでしょう。

そうなると、最適な提案ができるようになり、それは仕事での評価に繋がってくるのではないでしょうか。

また、センスは仕事だけでなくプライベートにも威力を発揮するはずです。

センスの良さは人を惹きつけますので、モテます。

ほとんどの方はモテたいはずですので、読むべきです。

特に、ボクと同じように「センスがなくなった」と感じている方、老いに抗いたいと思っている方には強くおすすめします。

センスは磨けるものだという希望を与えてくれる一冊です。

今後読みたい関連書籍

本書を読んで、センスについてさらに深く学びたいと思うようになりました。

今後読みたい本として以下の2冊を挙げておきます。

センスのよい考えには、「型」がある 著者:佐藤真木、阿佐見綾香

こちらは、センスの良い考え方には一定の型があるということを説く本のようです。本書で学んだ「知識の積み重ね」に加えて、思考の型を学ぶことで、さらにセンスが磨かれるのではないかと期待しています。

&Premium特別編集 センスのいい人は、何が違う? 編集:マガジンハウス

こちらは雑誌の特別編集版で、実際にセンスのいい人たちの暮らしや考え方を具体的に見ることができそうです。

本書で学んだ「普通を知る」ための横軸の知識を広げるのに役立ちそうだと思っています。

まとめ:読んでよかったと思える理由

本書を読んで、ボクは「センスは磨ける」という希望を得ることができました。

センスは天から与えられるギフトではなく、知識と判断力の積み重ねだという定義は、ボクの中でセンスというものの見方を大きく変えてくれました。

実際に服選びで理由を持てるようになったという小さな変化は、これから続けていけば、もっと大きな変化につながるかもしれないという期待を抱かせてくれます。

どんな仕事であっても、センスがあればいい仕事ができるはずです。

そして、センスは仕事だけでなく、プライベートでも人を惹きつける力になります。

自分のセンスの無さに頭を悩ましている人や、仕事でセンスが問われる方は、ぜひ本書を手に取ってみてください。

きっと、新しい視点と具体的な方法を得ることができるはずです。

ボクと同じように「センスが失われた」と感じている方も、諦める必要はありません。

今日から知識を積み重ねていけば、センスは必ず磨かれていくのですから。

まずは本書を手に取ることから始めませんか。

それではまた。

ありがとう!

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