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【読書感想文】『面白くて眠れなくなる数学』は数学嫌いにこそ読んでほしい名著だった

元気ですか〜!?

どうも、ろけねおです。

今回ご紹介いたします本は、数学者の桜井進さんのお書きになった本でございます。

面白くて眠れなくなる数学

子供の頃、ボクは公文式で算数と数学を勉強していました。

おかげで数学に対する苦手意識を持つことなく、むしろ好きな科目として楽しむことができたんです。

数学の面白さは、数学が嫌いな人に比べるとわかっているつもりでした。

そんなボクが書店で目にしたのが、桜井進さんの『面白くて眠れなくなる数学』というタイトルの本です。

「眠れなくなるほどの面白さ」とは一体どんなものなのか。

数学が好きなボクでも知らない面白さがあるのではないか。

そんな好奇心に駆られて、この本を手に取りました。

15万部突破!『面白くて眠れなくなる数学』とは?

『面白くて眠れなくなる数学』は、PHP研究所から2017年に文庫版として発売された書籍です。

著者の桜井進さんは「サイエンスナビゲーター」として、数学の驚きと感動を伝える活動を続けている方で、東京工業大学理学部数学科を卒業されています。

この本では、以下のような数学にまつわる興味深いエピソードが満載です。

  • 読めそうで読めない数式の話
  • おつりを簡単に計算するテクニック
  • 無限にも「大小」があるという不思議な概念
  • 皆既日食と円周率の意外な関係

数学者たちが発見してきた「数式」の裏話や、「数」に隠された驚くべき物語を知ることで、美しい数学の世界に感動できる一冊となっています。

桜井さんの講演活動は「エキサイティング・ライブショー」として日本全国で反響を呼んでおり、小学生からお年寄りまで誰でも楽しめる内容が特徴です。

見る人の世界観を変えると好評を博しており、テレビ出演や新聞、雑誌などでも話題になっています。

215ページという手頃なボリュームながら、15万部を売り上げたベストセラーです。

「数学嫌い」な人ほど読んでほしい。世界が変わる一冊

数学が苦手、もしくは嫌いという人はたくさんいます。

学生時代に数学でつまずいた経験を持つ人は少なくないでしょう。

でも、この本を読むと「もし小学生の頃にこういう話を知っていたら、数学はもっと身近な存在になっていたのに」と思わずにはいられません。

特に「自分は数学が苦手だ」と思っている人にこそ、ボクはこの本を読んでもらいたいです。

きっと目からウロコが落ちるはずです。

「数学がこんなに面白いものだったんだ」と、認識が変わるでしょう。

そして、「社会に出たら数学は必要ない」なんて言葉を、口にしなくなるかもしれません。

逆に言えば、これを読んでもしっくり来ない、面白がれないというのなら、それはよほど数学が肌に合わないということ。

その場合は心置きなく数学から距離をとって大丈夫だと、ボクは思います。

でも、その判断を下す前に、試してみる価値は十分にありますよ。

なぜ学校の授業で「数学の面白さ」は伝わらないのか?

今まで数学が苦手だったり嫌いだったりした人が、この本を読んで数学を「面白い」と感じられたとしたら、それは少し残念なことでもあります。

なぜなら、それは「学校で数学を教えてくれた先生の能力が低かった」か、「使っていた教科書がイマイチだった」ということになるからです。

数学の先生になっている人は、きっと数学が好きな人のはずです。

「別に好きじゃないけど点数が取れたから」という人もいるかもしれませんが、基本的には数学が好きでなければ、情熱を持って教える気にはならないと思います。

では、そんな数学が好きな先生たちが、授業の中でその「面白さ」を語ることはできているのでしょうか。

少なくとも、ボクが学生だった頃、数学の「面白さ」そのものを熱く語ってくれた先生は一人もいませんでした。

もちろん、これはボクの経験則でしかありませんが、多くの人が「数学=つまらない公式の暗記」と感じている現状があるのではないでしょうか。

もしかしたら、教えなければいけないことが多すぎて、面白さを語る時間がないのかもしれません。

もし、数学の面白さを伝えなかったことによって、何十年、何百年もの間、数学の才能を発揮できたかもしれない人が埋もれたままになっていたとしたら。

そう思うと、とても残念なことです。大人は子供の可能性を広げたり、伸ばしてあげたりするべき存在だと思いますが、実際には逆になってしまっていることが、教育の現場では結構あるのかもしれません。

先生という職業を選んだ人は、きっと子供の可能性を伸ばしたいと思ってその道に進んだはずです。

それなのに、結果としてその可能性を潰しているかもしれないというのは、あまりにも悲しいことですよね。

「文系」と「理系」に分けることの無理と限界

教育システムといえば、ボクがずっと疑問に思っているのが「文系」と「理系」の区分です。

文系と理系をざっくりと分けると、文系の人のほうが圧倒的に多いという印象なんですが、今でもそうなのでしょうか。

ボクの高校時代は全12クラスのうち、理系クラスはたった2クラスで、しかも在籍しているのはほぼ男子でした。猛烈に偏っていました。

その時は「そういうものか」と特に不思議に思っていませんでした。

でも、よく考えてみると、本来は半々近くになっていてもおかしくないはずですよね。

例えば、国語の問題を解くには、文章を論理的に理解する力が必要です。

「論理的」や「理屈っぽい」というのは理系のイメージがありますが、国語にだってそういう要素は不可欠です。

それなのに、国語を「文系」と一方的に振り分けたのは、あまりに雑な分類ではないでしょうか。

逆に、数学には「予想」というものがあります。

これは、証明されて初めて「定理」になるわけですが、「予想」というのは「しっかり証明はされていないけど、ほぼ間違いないだろう」と、数学を突き詰めた人たちが思うことです。

つまり、直感的に「こうなるだろう」と思ったことなのです。

この「直感的」という感覚は、一般的に数学に抱く「カッチリした」「論理だけの」イメージとは違いますよね。

むしろ芸術分野に近い発想です。

そう考えると、数学を単純に「理系」に振り分けるのも、やはり乱暴な気がしてくるわけです。

文系と理系に振り分けるシステムは、もしかしたら教える側や、試験問題を作る側が楽になるためのものだったのかもしれません。

社会の中にも数学的要素を含んだものは多くあります。

だからこそ、経済学部の入試などでは、数学と社会(地理歴史・公民)のどちらでも受験できるところがあったように思います。

数学と同じく、理科の分野だって直感が必要な場面はあるでしょう。

全ての教科がそれぞれ別の大陸の上にあるわけではなく、隣り合って地続きになっているのです。

本当は、文系も理系も入り乱れて勉強するほうが、より深く、効率的に学べるのではないかとボクは思います。

日常の「なぜ?」が数学の入り口になる

この本の表紙にもなっている「四色問題」(どんな地図でも、隣り合う領域が違う色になるように塗るには4色あれば十分か?という問題)だって、そうですよね。

子供の頃からぬりえをいっぱいやってきた子なら、証明はできなくとも「なんとなく4色あればいけそう」と肌感覚で知っているかもしれません。

もちろん、ぬりえをやっている子を見て「今、数学の勉強をしているんだな」とは誰も思いませんし、やっている当人も思っていません。

でも、その時に大人が「これって、4色あれば全部違う色で塗り分けられるかな?」と問いかけたらどうでしょう。

子供はきっと「うーん」と考え込んでくれるでしょう。

もし自分が問いかけられたのが、数学の有名な難問「四色問題」だと知ったら、それをきっかけに未来のすごい数学者に成長するかもしれないのです。

ボクたち大人は、オッサンになってから急に勉強する楽しさに目覚めたりします。

これは、子供の頃に持っていた好奇心の延長線上にあるものではないでしょうか。

「知りたい」という気持ちは、老若男女を問わず、人間が本能的に持っているものです。

これを「勉強」と呼んでしまうから、急にしんどくなるのです。

なぜなら、「勉強」には、大して興味がないことや必要に思えないことも知らなければならない、という強制力が伴うからです。

だから、先生はもとより、ボクたち大人が「知ること」や「学ぶこと」の面白さをちゃんと伝えさえすればいい。子供はそもそも好奇心の塊ですから、自動的に勉強をするようになるのではないでしょうか。

すべての分野に等しく興味を持つことの難しさ

ボクには子供がいないので勝手なことを書いている自覚はありますが、それでもやはり、みんながみんな、同じ分野を同じように勉強して、同じように良い成績を取るというのは無理があるように思います。

人それぞれ得意分野があり、興味の方向性も違います。

それなのに、同じカリキュラムで同じように評価される現在の学校システムには、限界があるのではないでしょうか。

この本を読んで、改めて教育のあり方について考えさせられました。

数学の面白さを知るきっかけは、人それぞれです。

学校の授業で出会う人もいれば、この本のような素晴らしい書籍を通じて出会う人もいるでしょう。

大切なのは、いつでもその「面白い!」というきっかけに出会える環境を作ることではないでしょうか。

この本があなたにくれる「新しい視点」

『面白くて眠れなくなる数学』は、数学の公式や解法を教えるための本ではありません。

数学という学問が持つ「美しさ」「不思議さ」、そして人間の知的好奇心を刺激する「魅力」を教えてくれる本です。

数学が苦手だった人は、「あれ、数学ってこんなに面白かったんだ」という大きな発見があるでしょう。

数学が好きな人は、「まだまだ知らない面白さがあったんだ」という新しい驚きがあるはずです。

もしあなたが数学に対して根強い苦手意識を持っているなら、この本はその分厚い壁を壊すきっかけになるかもしれません。

もしあなたが読書好きで、普段は小説やエッセイばかり読んでいるなら、この本はあなたの知らなかった新しい世界への扉を開いてくれるでしょう。

文庫サイズで持ち運びやすく、価格も手頃です。

通勤時間や寝る前のちょっとした時間に読むのにぴったりです。

本当に眠れなくなるかどうかは、あなた次第です。

ですが、少なくともボクは「もう少しだけ読みたい」と思いながら、夜更かししてページをめくり続けました。

数学の世界は、あなたが思っている以上に広く、深く、そして美しいものです。

この本を手に取って、その世界の一端に触れてみませんか。

きっと「読んで良かった」「数学ってもう少し知りたいかも」と思えるはずです。

数学への見方がガラリと変わるこの体験を、ぜひあなたも味わってみてください。

それではまた。

ありがとう!

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