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【読書感想文】アントニオ猪木は本当に強かったのか?『猪木伝説の真相』が全ての答えだった

元気ですか〜?!

どうも、ろけねおです。

今回ご紹介します本は伝説のプロレスラー・アントニオ猪木さんについていろんな人が語る本です。

ちなみに今回の感想はずいぶん前(2019年)に書いたものを修正したものになっています。

ご了承ください。

猪木伝説の真相 天才レスラーの生涯

プロレス界の「燃える闘魂」アントニオ猪木。

ボクにとってその存在は、応援する長州力の前に立ちはだかる、まさに「ラスボス」でした。

だから、積極的に好きになる対象ではなかったはず。

しかし、ある一冊の本が、その感情を根底から覆し、ボクが心の底では猪木に憧れていたという事実に気づかせてくれたのです。

そのきっかけとなったのが、今回ご紹介する『猪木伝説の真相 天才レスラーの生涯』です。

書店の店頭で偶然見かけたとき、最初は立ち読みで済ませるつもりでした。

しかし、数ページめくっただけで、その濃密な内容に引き込まれ、「これはじっくり腰を据えて読まなければならない」と感じ、レジへと向かっていました。

本書には、アントニオ猪木本人と、彼に深く関わったレスラーや関係者たちの生々しい証言が詰まっています。

ページをめくるたびに、それぞれの時代で躍動する猪木の姿が浮かび上がり、その人間離れしたエピソードの数々に、ただただ圧倒されるばかりでした。

この記事では、特にボクの心を揺さぶった証言をいくつかご紹介しながら、この本の魅力を語っていきます。

『猪木伝説の真相 天才レスラーの生涯』とは

本書は、2022年に宝島社から出版された、アントニオ猪木という不世出のプロレスラーの実像に迫るインタビュー集です。

猪木本人へのロングインタビューに加え、佐山聡、前田日明、武藤敬司といった弟子たちから、天龍源一郎のようなライバル、そして若手時代を知る関係者まで、総勢13名もの人物がそれぞれの視点から「アントニオ猪木」を語り尽くしています。

単なる賛辞だけではなく、時には批判的な視点も交えながら、多角的に猪木の光と影を浮き彫りにしているのが特徴です。

昭和から平成のプロレス史を彩った数々の大事件の真相にも触れられており、プロレスファンにとってはまさに垂涎の内容と言えるでしょう。

規格外の男・前田日明が語る猪木の狂気

「格闘王」前田日明。

現役時代、猪木の顎をハイキックでふっ飛ばしたインパクトがあまりに強く、ボクの中では猪木と常に対峙する危険な存在というイメージでした。

しかし近年、前田さんが猪木を語る言葉には、批判よりも尊敬の念が多く含まれているように感じます。

本書でもそのスタンスは同様で、猪木の凄さを認めつつ、彼らしい独特なエピソードを披露しています。

特に強烈だったのが、髙田延彦がヒクソン・グレイシーに敗れた試合後の話です。

髙田選手の敗戦に憤る帰り道、金髪に染めた元プロ野球選手の元木大介さんを見つけ、「何だこの野郎」と蹴り飛ばそうとしたというのです。

髙田選手のふがいなさへの怒りが、なぜ全く無関係の元木さんに向かうのか。

常人には到底理解できません。

さらに、その後に現れた金髪の髙橋義生さんにも腹が立ったというのですから、もはや理屈ではありません。

この、誰にも共感されないであろう理不尽な思考回路こそが、前田日明という男の魅力であり、そんな彼をも惹きつけるアントニオ猪木の器の大きさを逆説的に物語っているように感じました。

天才・武藤敬司が暴く「猪木プロレス」の正体

「プロレスリング・マスター」武藤敬司。

彼のプロレスは「天才」という言葉で形容されがちですが、インタビューを読むと、その思考が極めて論理的であることに驚かされます。

閃きとロジックが高次元で融合しているからこそ、観る者を魅了するプロレスを生み出せるのでしょう。

そんな武藤さんが、猪木のプロレスを実に的確に分析しています。

根底はアメリカンスタイルなんだけど、リアリティという部分を追求したのが、猪木さんのプロレスだよね。 正直、猪木さんは運動神経だけでいったら、めちゃくちゃ悪いよ。(中略)意外とドン臭いほうがリアリティがあって、観客の心に届くんだよな。

この言葉には衝撃を受けました。

オカダ・カズチカ選手に代表されるような、現代の超人的な身体能力を持つレスラーの試合を見慣れていたボクにとって、「運動神経が悪い」「ドン臭い」という要素が、なぜ観客の心を打つのか。

しかし、武藤さんの言葉を借りれば、洗練されすぎた動きは時にリアリティを失わせます。

必死さや泥臭さ、不器用だからこその懸命な姿が、観る者の感情を揺さぶり、「もしかしたら本当に憎しみ合っているのではないか」という緊張感を生む。

これこそが、猪木プロレスの神髄だったのかもしれません。

さらに武藤さんは、猪木の「やられっぷり」の良さにも言及しています。

やられている姿に哀愁が漂い、観客が「猪木、頑張れ!」と応援したくなる。

スターレスラーに必須の要素を、猪木は全て兼ね備えていたのです。

北沢幹之の証言がボクを「猪木ファン」にした

この記事の冒頭で、ボクは「今更ながらアントニオ猪木が好きだったことに気が付いた」と書きました。

その確信を得たのが、大ベテラン・北沢幹之さんのインタビューを読んだ時です。

北沢さんは猪木の若手時代からの先輩にあたる人物ですが、彼の猪木に関するインタビューは、いつだって同じです。

「猪木さんはとにかく強かった」と、ただひたすらに猪木を褒め称えるのです。

長年そばにいれば、猪木のダメな部分や弱い部分も見てきたはず。

それでも、北沢さんは一切それを語りません。

猪木の悪口を期待して本を手に取った人には物足りないかもしれませんが、その真っ直ぐなまでの猪木への賛辞を読んでいると、ボクは自分のことのように嬉しくなってしまうのです。

そして今回も、とんでもないエピソードが飛び出しました。

実はね、猪木さんがアメリカに行く前にオヤジ(力道山)とスパーリングをちょっとやったんです。

だけどオヤジは猪木さんに勝てなかったですね。ひっくり返して押さえたら、オヤジが猪木さんの腕を掴んで『これ以上やるな』と合図した。

プロレス界の父である力道山を、若き日の猪木がスパーリングで圧倒していたという衝撃の事実。

師である力道山に対してこんな発言をしていいのかと心配になるほどですが、このエピソードを知れただけで、この本を買った価値があったとさえ思えました。

この北沢さんの言葉を読んだ瞬間、「ああ、ボクは猪木が褒められると嬉しいんだ。つまり、猪木のことが好きなんだ」と、はっきりと自覚したのです。

猪木を知らない世代にこそ届けたい一冊

『猪木伝説の真相 天才レスラーの生涯』は、アントニオ猪木という一人の男を、様々な角度から深く知ることができる、まさに「猪木本の決定版」です。

今回紹介したエピソード以外にも、暗黒時代の新日本プロレスを支えた藤田和之選手の話など、読み応えのある証言が満載で、これまで持っていたレスラーの印象がガラリと変わることもありました。

現役時代の猪木を知る往年のプロレスファンはもちろん、名前しか知らないという若い世代の人にこそ、ぜひ手に取ってほしい一冊です。

常識では考えられないような人生を歩んできたスーパースターの生き様は、きっとあなたの心にも「闘魂」の火を灯してくれるはずです。

ご購入はこちらから

それではまた。

ありがとう!

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