元気ですか〜!?
どうも、ろけねおです。
ボクはこれまでUWF関連の本を何冊か読んできました。
フミ・サイトーこと斎藤文彦さんが今回のレビュー対象である柳澤健著『1984年のUWF』に対して、ずいぶんお怒りになっていると知りました。
『1984年のUWF』はサイテーの本!■「斎藤文彦INTERVIEWS⑬」
最初は「じゃあ読むのはやめておこうかな」と思ったんです。
だって、尊敬する(ちょっと言い過ぎたかも)斎藤さんが怒るほどの内容ってどんなものだろう、って不安にもなりましたし。
でも、やっぱり気になってしまって、結局手に取ってしまいました。
ボクのUWF関連の読書は、この本でいったん区切りになるかな、と思っています。
『1984年のUWF』の基本情報とボクの率直な感想
本書は柳澤健さんが著した『1984年のUWF』という書籍です。
タイトルの通り、UWFという団体が設立された1984年を中心に描かれている…と思いきや、ボクの率直な感想は「あんまりプロレスを知らない人が書いた本だな〜」というものでした。
斎藤さんがお怒りになるのも無理はない、と読んでいて強く感じましたね。
プロレスファンなら一度は経験があると思うんですが、プロレスをよく知らない人が「どうせショーでしょ?」と見下したように語ることって、ありますよね。
ボクもそういう経験が何度もあります。
だから、腹が立つというよりは、柳澤さんがせっかく仕事としてプロレスに足を踏み入れ、様々な文献を読んで本を書いたのに、この程度の理解で終わってしまったのか、と残念な気持ちになりました。
せっかくの労力がもったいない、というガッカリ感が正直なところです。
期待外れ?タイトルと内容のズレに戸惑うボク
『1984年のUWF』というタイトルから、ボクは1984年のUWFという団体や会社について、より詳細に、そして多角的に書かれているものと期待していました。
しかし、実際に読んでみると、UWF初期の歴史を丁寧に追っているのは、むしろ『U.W.F.戦史』の方だと感じましたね。
もしこのあたりのUWFに興味がある方がいれば、『U.W.F.戦史』を先に読むことをおすすめします。
なぜこんなことになっているのか。
著者が十分に調べても面白い話が出てこなかったのか、それとも大して調べていないのかはボクには分かりません。
ただ、本を形にするために、UWF以外の話で紙面を埋めている印象を受けました。
タイトルにハッキリと「1984年」と書いてあるにもかかわらず、新生UWFの話や、シューティング(修斗)の話まで出てくるんです。
ボクは、まだプロレス然としていた頃のUWFには興味があるんですが、新生となってからのUWFや修斗には全く興味が湧きません。
だから、「そんなことはいいから、もっと1984年のUWFを深掘りしてくれよ!」と思いながら読み進めました。
期待していた内容とは異なる方向に話が進むので、正直なところ、読み進めるのが少し苦痛でしたね。
中井祐樹選手の話とプロレスへの誤解?
この本では、「UWFはプロレスであって格闘技ではない」という主張を、修斗の選手だった中井祐樹さんの話を使って語っています。
しかし、先ほども言ったように、ボクは修斗そのものに興味がないんです。
だから、修斗の選手の話なんて、なおさら興味が湧きませんでした。
中井選手がどういう経緯でプロレスに見切りをつけたのか、なんてどうでもいいと思ってしまいました。
さらに言えば、本書の記述は、プロレスを好きな人間は何も分かっていないバカだ、とでも言いたげな雰囲気が終始漂っていて、読んでいて気分が悪くなりました。
※ちなみに、中井さんご本人は決してプロレスを見下してはいませんよ。念のため。
プロレスが格闘技ではないことが、まるで悪いことであるかのように書かれている点も、子供の頃からエンターテイメントとしてのプロレスに大いに魅せられてきたボクとしては、カチンと来ました。
プロレスの醍醐味は、ガチンコではないところにある、とボクは思っていますから。
とはいえ、読んでいるうちに中井VSゴルドー戦が気になってしまい、結局YouTubeでその試合を観てしまいましたね。
観た結果?うーん、ただグロいだけで、正直あまり心に残るものではありませんでした。
前田日明氏への描写に疑問符
この本では、佐山聡さんがいかに素晴らしいレスラーであり、総合格闘技というものを生み出すきっかけになったプロレス史にも格闘技史にも名を残す偉大な方であるかを強調しています。
それは間違いないことだと思います。
ただ、その佐山さんの凄さを引き立たせるために、前田日明さんを利用するやり方には疑問を感じました。
前田さんのことを「ガチのできないチキン(臆病者)」だとでも言いたげな描写が随所に見られ、やはり気分が悪くなりましたね。
プロレスラーとしてもド下手だと書かれていますし、実際に相手選手を怪我させている部分もあるので、そう言われても仕方ない部分もあるかもしれません。
しかし、それでもUWFから新日本プロレスにUターンしてきた頃の前田日明さんは、本当にカッコよかったんですよ。
強そうだったし、その強そうな前田さんのキックをすべて受け止めた藤波辰巳選手だって、ボクにはめちゃくちゃカッコよく見えました。
子供の頃のボクにとっては、「カッコいい」ただそれだけで十分だったんです。
それに、UWFをガチンコにできなかったのは、多くのプロレスファンがガチンコを観て楽しめるだけの知識も経験もなかったから、という側面もあるのではないでしょうか。
それでも彼らは食っていくために、プロレスファンを喜ばせなければならないという事情があったはずです。
そんなにまで悪者にしなくてもいいのに、とボクは思ってしまいました。
ボクはやっぱり純粋なプロレスが好き!
この本を読んで、ボクはやっぱり純粋なプロレスのほうが好きなんだ、ということがハッキリと分かりました。
総合格闘技もたまに観たりはしますが、未だにお金を払ってまで観ようという気持ちにはなりません。
PRIDEが社会現象になるほど人気が出たときも、ボクの心はピクリとも動きませんでした。
(まあ、その頃はプロレスも観ていなかったんですが、ごめんなさい!)
きっとUWFで佐山さんは、今でいう総合格闘技のようなものを目指していたんだと思いますが、それは10年早すぎたんでしょうね。
ちなみに今のボクが観ても、当時のUWFは物足りなさを感じてしまいます。
だから、ボクは昭和のプロレスファンと全く同じなんです。
ガチンコを楽しめなかった昭和のファンと一緒。
わあわあ言いながらプロレスを観たいし、応援している人にキチンとカッコよく勝ってもらいたい。
悪いやつはキチンと悪いことをして、キチンと制裁を受けてほしい。それがボクのプロレス観なんです。
感じが悪くて嫌なやつだけど、強いから勝っちゃう…というのは、わざわざお金を払って観に行かなくても、日常生活で普通にあることじゃないですか。
リアルなものって、感動させられることもあるけれど、同時にとても厳しいし、悲しいものですよ。
ボクはお金を払って観るなら、喜びたいし、笑いたいし、泣くなら感動で泣きたいんです。
プロレスは最高です。
ガチンコになんて興味が湧かなくて良かったな〜と、本当に心から思いました。
これからもボクは、純粋に「カッコいい」と思えるプロレスを応援し続けます!
まとめ:読後の率直な気持ちと、それでも読んで良かったこと
正直なところ、この本はボクが期待していた『1984年のUWF』とは違う内容で、読んでいてモヤモヤする部分も多々ありました。
特に、プロレスへの見方や前田日明さんへの描写には、納得できない点も多かったですね。
しかし、この本を読んだことで、ボク自身が「どんなプロレスが好きなのか」「プロレスの何に魅力を感じているのか」を再確認できたのは、大きな収穫でした。
ガチンコではない、エンターテイメントとしてのプロレスへの愛が、より一層深まった気がします。
比較・オススメ:UWFを知るならこの一冊!
もし1984年当時のUWFについて詳しく知りたいなら、ボクは断然『U.W.F.戦史』をおすすめします。
より丁寧に、そして中立的な視点でUWFの歴史が綴られているので、深くUWFの世界に浸れるはずです。
本書は、UWFというよりは、著者のプロレス観、格闘技観が強く反映された一冊だと感じました。
それではまた。
ありがとう!
