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【映画レビュー】プロレスファン必見『レスラー』に映る傷だらけの美学と哀しみ

元気ですか〜!?

どうも、ろけねおです。

このところ、映画やドラマをやたらと観るようになったボクですが、今回はついにあの名作を観ることにしました。

ミッキー・ローク主演の映画『レスラー』です。

レスラー

かなり前から「観ておかねばならない映画」としてリスト入りしていたのですが、なかなかその気になれず放置していました。

ですが、どこにも行く予定のないゴールデンウィーク。

やることも尽きて、ようやく観る決心がついたというわけです。

「ヤラセでしょ?」に込められた誇り

この映画を観ると、プロレスをどう捉えているかで印象が大きく変わると思います。

ボク自身、プロレスの経験はありませんが、ファンとしてそれなりに構造は理解しているつもりです。

ですので、この作品の描く“舞台裏”に驚きはありませんでした。

映画の中で、主人公ランディ(ミッキー・ローク)が「プロレスなんてヤラセでしょ?」と一般人に言われるシーンがあります。

彼は否定するでもなく、体中の傷を見せながら「この傷は○○との試合でついた、本物だ」と語ります。

まるでFMW時代の大仁田厚さんを彷彿とさせるような返しです。

リングの上の戦いが演出されたものであったとしても、流れる血や痛み、体の傷は偽りのない現実。

そこにプロレスラーとしての誇りを感じました。

音楽で語る80年代へのノスタルジー

ボクがもうひとつ強く共感したのが、80年代ハードロックに対する愛情です。

作中ではRATTの「Round and Round」が流れるバーで、主人公が気になる女性と音楽談義をする場面があります。

そして、彼の入場テーマはGuns N’ Rosesの「Sweet Child o’ Mine」。

この選曲だけでもうニヤけてしまいました。

「90年代はニルヴァーナが出てきて、音楽がダメになった」なんていうセリフも飛び出しますが、正直わかる気もします。

当時ボクもニルヴァーナを聴いていましたが、それは「流行に遅れてはいけない」という強迫観念からでした。心からハマったわけではなく、今も結局聴いているのは80年代のハードロックばかりです。

同じ時代を生きてきたからこそ、ランディの音楽観には深く共感しました。

孤独と愛と、ファンという名の「家族」

ランディはかつて大舞台で活躍していたものの、現在はスーパーでバイトしながら地方団体で細々とレスラーを続ける日々。

試合後に倒れて心臓発作を起こし、医師からは「もう引退すべき」と告げられます。

引退を決意し、放ったらかしてきた娘との関係を修復しようと努力しますが、結局また裏切ってしまい絶縁されてしまいます。

恋愛もうまくいかず、バイトも辞めて、彼の周りにはもう誰もいません。

それでも彼はリングに戻ります。

なぜなら、ファンだけは彼を必要としてくれるからです。

「君たちこそがオレの家族だ」

試合前、観客に向かってそう語るシーンは涙なしには観られませんでした。

必要とされる場所があること、それがどれほどの救いか。ボクは深く胸を打たれました。

背中が語る人生、ラストシーンに込められた余韻

この映画の特徴のひとつが、主人公の「背中」をずっと追いかけているところです。

控室からリングへと歩いていくその後ろ姿は、まるで人生そのものを歩んでいるようにも見えます。

薄暗いトンネルから明るいリングへ。

その一歩一歩に、重みがあります。

ラストシーンでは、ジャンプしてフィニッシュ技を繰り出す寸前のシーンで幕を閉じます。

彼が生き延びたのか、それともリングの上で命を落としたのかは描かれません。
普段であれば「観客の想像に委ねます」系の結末は好きではないボクですが、この映画に限っては、これで良かったと思えました。

なぜなら、たとえ結末が悲劇的であっても、彼の選択に後悔はなかったと信じられるからです。

プロレスラーの未来のために

映画を観終えた後、ボクはふと思いました。

スターレスラーだった人でさえ、引退後は肉体のダメージに苦しみ、まともな生活ができないケースがあります。

そんな現実があるのなら、プロレス界には引退後の生活を支援する制度がもっと必要ではないかと。

『レスラー』はプロレスという職業がいかに過酷で、いかに美しいかを教えてくれました。

そして、ボク自身もプロレスをもっと応援していこうという気持ちが強まりました。

おわりに

『レスラー』は、プロレスファンにはもちろん、人生に行き詰まったすべての人に観てほしい映画です。

孤独と向き合いながら、それでも「誰かに必要とされたい」と願う人間の姿が、ここにはあります。

ミッキー・ロークの演技は圧巻で、彼自身の人生とも重なる部分が多く、それがさらに説得力を与えています。

この作品を通して、改めて「生きること」とは何か、「自分にとっての家族とは何か」を考えさせられました。

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