元気ですか〜?!
どうも、ろけねおです。
今回ご紹介いたします本は、九州大学工学部教授・都甲潔さんがお書きになった本です。
プリンに醤油でウニになる 味覚センサーが解明した仰天の食の謎
特別ウニが好きなわけじゃないんです。
でも「何かと何かを混ぜたら別の味になる」という都市伝説のような話には目がなくて、この本のタイトル『プリンに醤油でウニになる 味覚センサーが解明した仰天の食の謎』を見た瞬間に「絶対読みたい!」と思いました。
プリンと醤油でウニの味?そんな魔法みたいな話が科学的に解明されているなんて、ワクワクが止まりませんでした。
もちろん、期待していた「混ぜたらこんな味」系の話も載っていました。
ですが、それ以上に「味」にまつわる科学的な話がぎっしり詰まっていて、正直なところ、難解な部分は飛ばし読みしてしまいました。
ボクが知りたかったのは主に味のメカニズムや不思議な組み合わせの話だったので、興味の範囲外のところはサラッと流してしまったんですよね。
それでも、この本はボクの知的好奇心を大いに刺激してくれました。
『プリンに醤油でウニになる』とはどんな本か
まずはこの本の基本情報から紹介します。
- 書名: 『プリンに醤油でウニになる 味覚センサーが解明した仰天の食の謎』
- 著者: 都甲潔(とこう きよし)
- 出版社: ソフトバンククリエイティブ
- 発売日: 2007年9月15日
- 形態: 新書、208ページ
著者の都甲潔氏は九州大学の教授で、なんと世界で初めて「味覚センサー」を開発した方です。
この功績で紫綬褒章も受章されています。
この「味覚センサー」というのが本書のキモです。
人間の舌が感じる味(酸味、苦味、甘味、塩味、旨味)を、機械で客観的に数値化できる装置なんです。
本書では、これまで完全に「主観」だと思われていた「おいしさ」を、この味覚センサーを使って科学的に解明していきます。
味覚を「数値化」する時代の到来
「辛味は実は味覚ではなかった」
「苦味は毒のサインだった」
「旨味は日本人が発見した味だった」など、驚きの事実が次々と明らかになります。
そして何より、味覚センサーの登場によって「コーヒー牛乳 = 麦茶 + 牛乳 + 砂糖」といった、にわかには信じがたい「味の方程式」が証明されてしまうんです。
この本の核心は、「プリンに醤油を混ぜたらウニっぽくなる」という現象が、もはや個人の感想ではなく、科学的に証明可能になったという点です。
主観的だった味の世界が、機械によって客観的に評価できるようになったわけですね。
食感の不思議 – ぬれおかきは気持ち悪い?
それでは、本を読んでいてボクが特に気になった部分をピックアップしながら、正直な感想を書いていきます。
本書にこんな一節がありました。
「煎餅を口に含んで歯でかもうとする。ジワーッと歯に食い込んでしまったら、おいしいだろうか?気持ち悪い」
確かにボクもそう思うんです。
パリッとした食感を期待しているのに、湿気った煎餅のようにジワーッと歯に食い込んできたら、それは「気持ち悪い」と感じます。
でも、待てよと。
『ぬれおかき』ってありますよね?
あれはまさに、ジワーッと歯に食い込んでくる独特の食感を楽しむためのおかきです。
それを「気持ち悪い」とバッサリ切り捨ててしまうと、ぬれおかきファンに怒られてしまいます。
せっかくなら、科学的にどう気持ち悪いのか、あるいは、なぜ一部の人はその「気持ち悪さ」を好むのかを解説してくれたら、もっと面白かったのにな、と思いました。
食感の好みって、味以上に個人差が激しい領域ですからね。
肉とキノコの代替問題は解決するのか
「将来、食料危機で肉類が不足したときに活躍するのがキノコだといわれている。それは、キノコの食感と味が肉に似ているからである」
よく「肉厚の椎茸はアワビや肉に似ている」なんて言いますが、ボクはここで断言します。
椎茸は肉の代用品にはなりません。
これは単に、ボクが椎茸を猛烈に苦手としているから、という個人的な理由に過ぎないんですけどね。
もし本当に食料危機が来て、肉の代わりに椎茸を食べるようになったとしても、ボクはやっぱり椎茸を「肉」として受け入れることはできないと思います。
幸い、今は大豆ミートという新しい選択肢も出てきましたし、そっちの方がボクにとってはまだマシです。
まいたけ、エリンギ、えのき、しめじ、マッシュルームなら全然大丈夫なんです。
でも、椎茸だけはどうしてもダメなので、肉の代用は無理ですね。
たとえ味覚センサーが「似ている」と判定したとしても、人間の「好み」や「記憶」は、数値だけじゃ測れないんだなと実感する部分です。
わさびは自分でおろしたことがない
「ワサビはできるだけ目の細かいおろし器でおろした方が良いといわれる」
これまでの人生を振り返ってみて、わさびを自分でおろすような高級な場面にまだ出くわしたことがありません。
ボクの日常では、すでにおろされたものが小袋に入っているか、チューブからニューッと出すのが常です。
でも、想像してみれば、本物のわさびを自分でおろすってだけで、プラシーボ効果も相まって相当おいしく思えるものですよね。
その時、目が粗いとか細かいとかまで気にする余裕はないかもしれません。
いつか本物の生わさびをおろす機会があったら、この「目が細かいおろし器」という知識を思い出してみることにします。
トウガラシは「味」ではなく「痛み」だった
「トウガラシは痛覚を刺激するのだ。つまりは『痛い』の弱いのが『からい』ということなのです」
これはまさに目から鱗でした。
辛いものは「味覚」だと思い込んでいましたが、実は「痛覚」だったとは。
確かに、激辛のものを食べたら胃が痛くなったり、翌日お尻が痛くなったりしますよね(それはまた違う種類の痛みかもしれませんが)。
ということは、辛いものが大好きな人というのは、もしかしてM(マゾヒスト)の気質があるのかもしれません。
ボクはそこまで辛いものが得意なわけではありませんが、辛いものが得意だからといって、何かいいことがあるのかなと疑問に思っていました。
痛みに強いということは、体に何か異常をきたしているときにも気づきにくいということになりかねません。
だとしたら、あまり良いことじゃないですよね。
適度な辛さを「おいしい」と感じるくらいが、体にとってはちょうどいいのかもしれません。
ついに本題! プリン+醤油の真実
いよいよ本題です。
プリンと醤油の組み合わせについて、本書はこう結論づけています。
「プリン+醤油は”値段の安いウニの味”という表現が適切かもしれない」
味覚センサーで測定した結果、本物のウニに比べて「うま味」と「コク」が不足しているため、こういう結論になったそうです。
なるほど、完全なウニではなく、「安いウニ」なんですね。
でも、冷静に考えてみれば、値段が安いウニでいいなら、普通に安いウニを買えばいいわけで、わざわざプリンに醤油をかけるという奇行に走る必要はないですよね。
この知識が本当に活躍するのは、食料危機に直面してウニが絶滅してしまったときでしょうか。
ただ、ボクはウニもあまり好きではなく、現時点で全く口にしていませんが、一切困っていません。
だから、ボクにとっては代用品を用意する必要すらない、という結論になりました。
まだまだある!驚きの味の方程式
本書では、プリンと醤油以外にも、驚きの「味の方程式」が紹介されていました。
「コーンスープ = 牛乳 + たくあん」
ミキサーでかき混ぜるんでしょうか。これは猛烈にやってみたい衝動に駆られました!
少し前にテレビで、たくあんを細切りにしてパスタに見立てた「たくあんカルボナーラ」を見かけたんですが、食べた人が一様に「美味い!」と絶賛していたんです。
きっとこれと同じような味の構成になっているんだと思います。
「レアチーズケーキ = ヨーグルト + 豆乳」
これも手軽にできそうなので試してみたいですね。
ヘルシーですし。
ちなみに、この他にも以下のような驚きの方程式が紹介されていました。
- クリームチーズ = ヨーグルト + マヨネーズ
- チーズ = 梅干し + 牛乳
- 栗 = チーズ + 蜂蜜
- ブドウ = リンゴ + 牛乳
機械で味の構成を調べると、これらは「ほぼ同じ味」として判定されるそうです。
どれもすぐに試せそうなので、週末にでも実験してみたくなりました。材料費も安く済みそうですしね。
コーヒーの味と「野性的」という表現
ここから突如、ボクの好きなコーヒーの話になります。
味覚センサーで主要なコーヒー豆の味の違いを測定した結果が紹介されていました。
- ブルーマウンテン: バランスのとれた味
- ガテマラ: 甘い香りと淡い酸味
- ブラジル: 苦味の強い
- コロンビア: 甘い香りと酸味、円熟したコク
- マンデリン: 苦味の強い
- コナ: 強い酸味と甘い香りがあり野性的
この中で特に気になったのが、コナの「野性的」な味という表現です。
これはどういう意味なんでしょう?
飲んだら分かるのかもしれませんが、味覚センサーが「野性的」と判定する基準が知りたくなりました。
コナにも色々あるのかもしれませんが、「ハワイコナ」は格別に値段が高くて、なかなか手が出ません。
いつかこの「野性的な味」を体験してみたいものです。
ストレスと苦味の意外な関係
コーヒーに関連して、非常にハッとする記述がありました。
「ストレスは苦味に対して鈍感にするという事実は知っておいたほうがいい」
これを読んで、思わず「なるほど!」と声を上げそうになりました。
今の会社に勤めてから、異常にコーヒーを飲む量が増えたんです。
しかも、以前よりもより濃いブラックを好んで飲んでいます。
それは、ストレスでコーヒーが欲しくなるんじゃなくて、「ストレスで苦味を感じにくくなっているから、より濃い(苦い)コーヒーを求めていた」ということだったんですね。
これは自分の心身の状態を知る、良いバロメーターになりそうです。
濃いコーヒーばかり飲みたくなったら、それはストレスが溜まっているサインかもしれません。
「脂」と「油」の明確な違い
「常温で固体の油脂を『脂』、液体のもの『油』と呼ぶことが多いようである」
この表現の違い、以前から少し気になっていたのでスッキリしました!
ラーメンの表面にプカプカと白く固まって浮いているのが「脂」(ラードなど)で、ラー油みたいに液体で浮いているのが「油」(ごま油など)というわけですね。
日本語って、細かいところまで使い分けがあって本当に面白いです。
スイカに塩。まだ解明されていない謎
「脳で起こっている現象なのか、舌も関係している現象なのかすら不明」
これは、「スイカに塩をかけたら甘くなる」メカニズムの解明が、まだできていないという話です。
あの味覚センサーをもってしても、まだ分からないことがあるんですね。
ちなみにボクはスイカに塩をかけない派なので、正直どうでもいいんですけどね。
でも、科学の最先端でもまだ謎が残っているというのは、なんだかちょっとロマンを感じます。
犬並みの嗅覚は本当に良いことか?
「みんなが犬並みの嗅覚を持った世界、想像するだに楽しいではないか」
著者はこう書いていましたが、ボクは全くそうは思いません。
もし人間の嗅覚が犬並みになったら、そこら中の匂いがキツすぎて、臭くてたまらないと思います。
どの感覚もそうだと思いますが、あまりに鋭すぎるとしんどいんじゃないでしょうか。
「楽しいだろうなぁ」とか「素晴らしい」とか、ボクは微塵も思いません。
いったいこの著者さんは、何がそんなに楽しいんでしょう?
犬に必要だった能力だから犬には搭載されていて、人間にはそこまでの嗅覚は必要ないから、そこそこの性能になっている。
これでいいのだ、とバカボンのパパも言っていますよね。
高血圧のボクが心に刻むべき「うま味」の話
「逆に塩分を少なくして、うま味を多くすれば、十分においしい味噌汁を楽しめるのだ」
これは塩分についての非常に重要な指摘です。
ボクは自他共に認める、塩分を取り過ぎな毎日を送っています。
何も味噌汁だけでなく、口にする全てのものを「うま味アップ・塩分ダウン」で実行したいところです。
現在、血圧を下げる薬を飲み続けている身としては、余計に気にしないといけません。
ボクのようなおっさんはこの日本に山ほどいると思いますが、味覚センサーの知見を活用して、健康的でおいしい食生活を目指したいものです。
水の硬度と料理の深い関係
「硬水の多いフランスでは、ジャガイモを茹でないで蒸し煮している」
中国も基本は硬水なんだそうで、使う水の種類によって料理の仕方も違ってくるんだそうです。
煮物には軟水が適しているので、日本ではジャガイモは「煮る」わけですね。
ちなみに硬水で煮るのに適しているのは「トンコツ」なんだそうです。
普通の人が家でトンコツを煮込むことはあまりないと思いますが、急に本格的な豚骨ラーメンが作りたくなる衝動に駆られることがありそうな方は、覚えておいて損はないかと思います。
とはいえ、豚骨を煮込むためにわざわざ硬水を買ってくるのはしんどいですけどね。
でも、水ひとつで料理の仕上がりが変わるというのは、まさに科学だなと感じました。
その他の科学の本
ボクが読んだもので、この本と同じく科学に興味が湧く本をご紹介いたします。
こちらは生物学です。
なんでこの生物はこんな形をしているのか、などというような普段の暮らしの中で特段不思議に思わないことを掘り下げてますので、オススメです。
まとめ – 味覚の奥深さを知り、実験したくなる一冊
この本を読んで一番印象に残ったのは、普段ボクらが何気なく口にしている食べ物の「味の成分表」がたくさん見られたことです。
いつも「おいしい」とか「まずい」とかで済ませているものが、複雑な成分で分解されて数値化されているのを見ると、口の中では実に複雑なことが起こっているんだなと実感しました。
これからは、さっさと飲み込んでしまわずに、もっとゆっくり味わうべきだなと反省しました。
早食いは身体にも良くないですしね。
「混ぜたらこんな味」という面白ネタを期待して読み始めましたが、それ以上に、味覚そのものの仕組みや、「味覚センサー」という最先端技術の話がとても面白かったです。
前述の通り、難しい部分は正直飛ばしてしまいましたが、それでも十分に楽しめる内容でした。
プリンと醤油でウニの味になるなんて、科学って本当に面白いですよね。
週末にでも家で実験してみようかな、と背中を押してくれる一冊です。
特に「コーンスープ = 牛乳 + たくあん」の実験は、ボクも絶対やってみたいと思っています!
味覚に興味がある方、食の科学に興味がある方、そしてボクのように「変な食べ物の組み合わせ」が好きな方には、ぜひおすすめしたい本です。
読み終わった後、きっとあなたも何か実験したくなるはずですよ。
それではまた。
ありがとう!