元気ですか〜!?
どうも、ろけねおです。
ボクは53歳になるまで、リアルでメンターや師匠と呼べるような存在に出会うことはありませんでした。
もちろん、ロックスターやプロレスラーに憧れたことはあります。
でも、それは遠い存在として見ているだけで元気をもらえる、そんなファンとしての関係性で完結していました。
そんなボクが、ここ最近で初めて「こういうお年寄りになれたらいいな」と心から思え、師と仰ぎたいと感じたのが、片岡鶴太郎さんだったのです。
ボクは1970年代生まれの、いわゆる就職氷河期世代です。
社会に出るタイミングでバブル崩壊後の厳しい就職難を経験し、その後も非正規雇用の増加や給与の伸び悩みといった、デフレ経済の真っただ中で生きてきました。
「失われた30年」をそのまま背負ってきた世代と言っても過言ではありません。
年金制度への不安も大きく、上の世代のように「払った分は確実にもらえる」とは到底思えないのが現実です。
でも、ボクは生まれた時代のせいにはしたくありません。
結局、ここまでの人生の選択をしてきたのは自分自身であり、今の結果は自分の責任なわけですから。
同世代でも、才能や努力によって何の不安もなく老後を迎えられる人だっているはずです。
今の自分に何もないことを嘆くよりも、これからどうするかを考えるべきです。
そんな状況だからこそ、「老後をどう生きるか」という課題に真剣に向き合う必要があると痛感していました。
ただ漠然と不安を抱えて過ごすのではなく、指針となる生き方が欲しかった。
そこで、かつての賑やかな芸人から、ストイックな芸術家・ヨガマスターへと驚くべき変貌を遂げた鶴太郎さんをもっと知りたくて、『老いては「好き」にしたがえ!』を手に取ったのです。
老いては「好き」にしたがえ!
基本情報
著者: 片岡鶴太郎
出版社: 幻冬舎
発売日: 2023年7月26日
ページ数: 232ページ
著者の片岡鶴太郎さんは1954年、東京・西日暮里生まれ。
高校卒業後に片岡鶴八師匠に弟子入りし、バラエティー番組『オレたちひょうきん族』などで一世を風靡しました。
その後、30代でボクシングのプロライセンスを取得し、役者へ転身。
日本アカデミー賞最優秀助演男優賞をはじめ数多くの賞を受賞し、現在は幅広いキャラクターを演じられる名優として活躍中です。
また、書の芥川賞と言われる「手島右卿賞」を受賞するなど芸術家としても名高く、近年ではインド政府公認プロフェッショナルヨガ検定に合格し、ヨガマスターとしても活動されています。
本書の内容を一言で表すなら、「人生を充実させるコツは、心の赴くままに行動すること」です。
還暦を機に離婚した鶴太郎さんは、「60代は体が元気に動く最後の時間。漫然と過ごすのはもったいない」と、いわゆる「終活」には目もくれず、自分のしたいことだけに情熱を注いでいます。
常に新しい分野へ挑戦をしてきた経験から、「何かを始めるのに年齢やセンスは関係ない」と断言。
やりたいことの具体的な見つけ方から、自身も苦しんだ「男の更年期」の乗り越え方まで、老いに負けない極意が語られています。
Before:この本を読む前の課題
ボクが抱えていた一番の不安は、やはり「お金」の問題でした。
現時点でも給料が決して多いとは言えず、恥ずかしながら貯金もほとんどありません。
退職金も雀の涙ほどしか出ない見込みで、年金も支払ってはいますが、将来の受給額には全く期待が持てない世代です。
テレビやニュースで「老後2000万円問題」などが取り上げられるたびに、胸が締め付けられるような思いをしていました。
このままでは、老後に暮らしていけないのではないか。
誰にも頼れず、惨めな思いをして晩年を過ごすことになるのではないか。
そんな漠然とした、しかし巨大な不安が常に頭の片隅にありました。
お金がないなら、せめて心だけでも豊かに暮らす方法を見つけなければ、ボクの老後は暗闇です。
そのヒントがこの本にあるのではないかと期待しました。
鶴太郎さんから学んだこと
現在の鶴太郎さんは渋い俳優さんであり、ストイックなヨガマスターですが、ボクと同年代の方なら、鶴太郎さんが芸人としてお茶の間を沸かせていた頃のことを鮮明に覚えているでしょう。
熱々おでんを顔につけられたり、女子プロレスラーに投げ飛ばされたりと、リアクション芸で笑いを取る、いじられてナンボの芸風でした。
本の中では、鶴太郎さん自身は自分のことを「モノマネ芸人」と認識されているようですが、ボクの記憶にある鶴太郎さんのモノマネは、正直あまり「似ている」という印象はありませんでした。 特にボクが大好きだったのは、近藤真彦(マッチ)さんのモノマネです。
バンダナを巻いて「マッチでーす!」と絶叫するのですが、顔も声も全く似ていないのです。
似ていないのに、その勢いとキャラクターだけで爆笑をさらっていく。
あの強烈なエネルギーは、今でもボクの脳裏に焼き付いています。
マイじいさんやおでん芸も好きでしたが、あの「似てないマッチ」のインパクトは別格でした。
また、当時の鶴太郎さんは「抱かれたくない男」ランキングの常連でもありました。
どちらかといえば、「ああはなりたくないな」「かっこ悪いな」と笑い飛ばす対象だったのです。
そんな鶴太郎さんが、歳を重ねてこれほどまでにダンディで、尊敬できる人物になるとは誰が想像したでしょうか。
「人間って、こんなに変われるものなんだ」 かつての姿を知っているからこそ、その変貌ぶりに勇気が湧いてくるのです。
人はいつからでも、なりたい自分になれるのだと教えてくれます。
好きを見つけることの重要性
タイトル『老いては「好き」にしたがえ!』からも分かる通り、鶴太郎さんは自分の好きなことを見つけて、とことん追求することで人生の終盤を謳歌しておられます。
しかし、働き盛りの現役世代が、今から急に「好きなことだけをする生き方」にスイッチするのは簡単ではありません。
生活がありますし、責任もあります。
それが分かっていて、鶴太郎さんは「老いては」と、多くの人が定年を迎える60歳以降の生き方として提言したのだと思います。
しかし、これを実際に「老いて」から、つまり定年してから突然その生き方にスイッチしたのでは、手遅れになるのではないかとボクは感じました。
会社人間として何十年も生きてきて、引退の日が来て急に「さあ、好きなことをしなさい」と言われても、普通の人は自分が何が好きなのかさえハッキリしていないでしょう。
鶴太郎さんのように、寝食を忘れてのめり込めるような趣味を持っている人のほうが稀です。
だからこそ、この本は引退を迎えたばかりの人や、引退後にすることがなくて困っている人が読む本ではありません。
ボクのように、あと数年で引退の日を迎える現役世代こそが読むべき本です。
特に、就職氷河期や団塊ジュニア世代が今のうちに読み、「好き」の種まきをしておくことに意義があると強く感じました。
反復トレーニングの凄まじさ
芸人からボクサー、画家、そしてヨガの実践者へと変貌を遂げた鶴太郎さん。
全く違う世界に見えますが、いずれもプロレベル、あるいはプロそのものの領域に達しています。
これは並大抵のことではありません。
なぜそんなことが可能だったのか。
鶴太郎さんは2つの要因を挙げています。
一つは、元々モノマネ芸人であったため、対象を徹底的に「観察」し、その特徴を捉えることが得意だったこと。
そしてもう一つは、観察によって得た技術を習得するために、地味な「反復」を繰り返すことができる能力です。
特に鶴太郎さんの凄まじさは、この「反復する能力」が半端ではない点にあります。
たとえば肉体の老化に抗うために、内臓を動かす呼吸法や、目の運動、首の運動などを毎日何時間もかけて行うというのです。
そのストイックさは、美容家として知られるMEGUMIさんにも優るとも劣りません。
「そんなの、普通のおっさんであるボクにはとてもマネできない」 最初はそう思いました。
しかし、この地道な反復ができなければ、いかなる趣味もプロレベル、つまり人を感動させるレベルには到達しないのです。
楽しむために必要なこと
とはいえ、いかなる趣味もプロレベルに達しなければ、楽しい老後は過ごせないのでしょうか。
もちろん、プロレベルに達してそれが収入に繋がれば、楽しさは倍増するでしょう。
老後の資金不安も解消されます。
しかし、結果が出なくても、「何かを夢中になってやる」というプロセスそのものが、老後を豊かにするのではないかとも感じました。
プロレベルを目指して、自分なりに精進する。
昨日の自分より少しだけ上手くなる。
その「精進」の過程を楽しめるのであれば、結果はどうあれ幸せなはずです。
そして、苦しい反復練習を「楽しく」行うためには、やはりそれが「本当に好きなこと」でないと続きません。
だからこそ、早めに自分にとっての「好き」を見つけなければならないと、強く背中を押されたのでした。
生涯現役という生き方
ヨガを始めてすっかりスリムになられた鶴太郎さんですが、
※その前のボクサーの頃にすっかりスリムにはなられていたんですけどね。
健康状態はすこぶる良好だそうです。
運動をしっかり行い、食事はほぼ野菜中心。
満腹になるまでは食べず、なんと夕食は食べないという一日一食生活です。
ボクがもっとも共感し、衝撃を受けたのは、鶴太郎さんの「死に方」についての考え方です。
鶴太郎さんは「死ぬ時は午睡(昼寝)のごとく死にたい」とおっしゃいます。
誰かが昼寝していると思って近づいてみたら、「あ、逝っているのか」と気づく。
苦しむこともなく、静かにスイッチが切れるように旅立つ。
そんな最期を迎えたいと語っています。
これには深く頷きました。
病院のベッドで管に繋がれて長生きするよりも、こんな感じで電池が切れたみたいに逝くのがボクの理想でもあります。
しかし、そのためには死ぬ間際まで、自分の足で立ち、自分の頭で考えられる「元気」が必要です。
「午睡のごとく死ぬ」ためには、生きている間は猛烈に健康的でなければならないのです。
Action:実際に試したこと
この本を読んで感化されたボクは、今の生活に2つのことを実践し始めました。
1. 蒸し料理生活の導入
1つ目は、鶴太郎さんが実践している「蒸し料理」です。
読了後、早速ダイソーへ走り、蒸し器を購入しました。
※幸い最近はせいろ蒸しが流行っている様子で、蒸し料理関連の本はたくさんあったので、困りませんでした。そこで最もお安く蒸し料理を始められる方法として、ダイソーの蒸し器を利用することだと知り買いに行きました。
休みの日は、いろんな食材を蒸して食べています。
試したのは、豚肉、豆腐、もやし、じゃがいも、ブロッコリー、そしてズッキーニです。
特に感動したのはズッキーニでした。
蒸したズッキーニをポン酢につけて食べたのですが、これが格別のおいしさでした。
油を使わず、素材の甘みが引き出され、ポン酢の酸味がさっぱりと包み込む。
野菜だけでも、しっかり噛んで味わうことで十分な満腹感を得ることができました。
太り気味の現状では、理想とする「午睡のような最期」を迎えるのは難しいでしょう。
食べるもののうち、蒸し料理の割合を増やしていくことで、健康的にダイエットを進めていこうと思っています。これは無理なく続けられそうです。
2. ブログによるマネタイズへの再挑戦
2つ目は、「好きなことで暮らしていく」ための挑戦です。
ボクにとっての「好きなこと」、それは文章を書くこと、ブログを運営することです。
これを何とか生活費を稼ぐ手段、つまりマネタイズに繋げたいと必死に考えています。
現在ぶつかっている最大の壁は、Google AdSenseの審査です。
実はここ半年ほど、来る日も来る日も記事のリライトを続けているのですが、なかなか審査を通過できません。 「有用性の低いコンテンツ」という判定が出るたびに心が折れそうになります。
53歳のおじさんがパソコンに向かって唸っている姿は滑稽かもしれませんが、ボクにとっては真剣勝負です。
鶴太郎さんの本にある生活習慣すべて(早朝のヨガや一日一食など)を一気に取り入れるのは、正直言って仕事の疲れもある今のボクには現実的ではありませんでした。
しかし、鶴太郎さんが芸やヨガの習得のために行った「反復」の精神は、このブログ運営にこそ活かすべきだと気づきました。
審査に落ちても、改善点を「観察」し、記事を修正して「反復」する。
この繰り返しだけが、プロへの道、つまり収益化への道なのだと言い聞かせています。
「全部やらなきゃいけない」と思い込まないことも大事です。
まずは蒸し料理と、ブログへの執念。
それくらいの距離感で、鶴太郎さんの教えを実践していこうと思います。
Result:実践した結果
蒸し料理を導入したことによって、今まで感じられずにいた「野菜そのもののおいしさ」を感じられるようになったことは大きな収穫でした。
体が重く感じることも減り、食後の罪悪感もありません。
これで今後、野菜を摂取する自然と量が増えていく予感がしています。
一方、好きなことでマネタイズすることについては、残念ながらまだ達成されていません。
AdSenseの壁は依然として高くそびえ立っています。
しかし、鶴太郎さんの「反復」の凄まじさを知ったことで、「たかだか半年あがいたくらいで諦めてはいけない」と思えるようになりました。
考え続け、書き続けることで、少しずつ道が見えてくるのではないかと期待しています。
53歳からでも、希望を捨てずにやるべきことを淡々とやれば、未来は明るい。
そう思えるマインドセットが手に入ったことが、何よりの結果かもしれません。
こんな人におすすめしたい
この本は、以下のような人に特に刺さると思います。
- 50代前後で老後に不安を抱えている人:ボクと同じように経済的な不安を感じている人に勇気を与えてくれます
- 経済的に厳しい状況で定年後の生活が心配な人:お金だけがすべてではないという視点をくれます
- 好きなことを見つけて人生後半を充実させたい人:今から準備を始めることの大切さを教えてくれます
特に、社会の波に揉まれ続けてきた氷河期世代や団塊ジュニア世代には、ぜひ読んでほしい一冊です。
似たテーマで今後読みたい本
この本を読んで、老後の生き方についてもっと知りたくなりました。
今後読みたいと思っている本を2冊紹介します。
1冊目は、大前研一さんの『シニアエコノミー:「老後不安」を乗り越える』です。
大前さんは鶴太郎さんとはまた違う、経済やビジネスの視点を持った方です。
きっと経済的な不安のない世代の方だとは思いますが、マクロな視点で「老後」をどう捉え、どう乗り越えればいいのかを提案しているはずなので、鶴太郎さんの精神論と合わせて確認してみたいです。
2冊目は、真山知幸さんの『大器晩成列伝 遅咲きの人生には共通点があった!』です。
50代からでも遅くない、という希望をさらに補強したいです。
歴史上の偉人たちが、いかにして人生の後半で花開いたのかを知ることは、今のボクにとって大きな勇気になるはずです。
まとめ:読んでよかったと思える理由
ボクと同世代の皆さんは、本当に大変な時代を生き抜いてきました。
国や社会のシステムに、辛い目にあわされ続けてきたと言ってもいいでしょう。
でも、鶴太郎さんのような考え方を取り入れることで、お金の多寡にかかわらず、少しでも豊かに生きて、理想の最期を迎えられそうな気がしました。
この本から学んだ最大のことは、「今から好きなことを見つけて、少しずつ準備を始めること」の大切さと、「反復すること」の強さです。
引退してから慌てるのではなく、今のうちに自分と向き合い、本当に好きなことを見つけておく。
そして、それを楽しみながら、諦めずに反復し、精進していく。
経済的な不安はすぐには消えません。ブログの審査もまだ通らないかもしれません。
ですが、好きなことに打ち込める人生を送れれば、それだけで豊かな老後になるのではないかと思えるようになりました。
同世代の皆さん、ぜひこの本を手に取ってみてください。
きっと、あなたの老後への向き合い方が、少し前向きに変わるはずです。
それではまた。
ありがとう!