元気ですか〜!?
どうも、ろけねおです。
今回ご紹介いたします本は音楽評論家の中山康樹さんのお書きなった本でございます。
ジャズ名盤入門
少し前の誕生日に、友人から防水機能付きのスピーカーをいただきました。
これがきっかけで、ボクのバスタイムは大きく変わりました。
防水機能付きのKindleも持っていたので、湯船に浸かりながらスピーカーで音楽をかけ、読書を楽しむのが日課になったんです。
最初は、自分の大好きな日本語詞のハードロックをかけていました。
しかし、ここで問題が発生します。
好きな曲だけに、歌詞が頭の中に染み付いているんですね。
本を読んでいても、流れてくる歌詞に意識が持っていかれてしまい、読書にまったく集中できません。
これでは読書が目的なのに本末転倒です。
そこで「日本語歌詞がダメなら英語詞ならどうだ」と、英語詞のハードロックに変えてみました。
しかし、これもダメ。
英語詞でもそこそこ知っている曲が多く、結局歌詞を追いかけてしまう自分がいました。
「ボーカルがあったとしても、歌詞をまったく知らないもの」
「そもそも曲自体をよく知らないもの」
で、読書にしっくり来るBGMはないか。
そうやって探し続けたボクが、ついに見つけたのが「ジャズ・チル」でした。
ジャズ・チルから、もっと深いジャズの世界へ
ジャズ・チルとの出会いは、ボクの音楽の聴き方を大きく変えてくれました。
それまでハードロック一辺倒だったボクにとって、ジャズはまったくの未知の世界。
正直、少し敷居が高いと感じていたジャンルです。
読書用BGMとして聴き始めたジャズでしたが、毎日触れているうちに、次第にその奥深さに興味が湧いてきたんです。
「この心地よいリズムはなんだろう?」
「この楽器の音色は?」
と、BGMだったはずの音楽に耳を傾ける時間が増えていきました。
そこで「ジャズをちゃんと知りたい」と思い、入門書を探すことにしました。
書店でジャズのコーナーを眺めていて目に留まったのが、今回ご紹介する中山康樹さんの『ジャズ名盤入門』です。
講談社現代新書という信頼できるレーベルから出ていること、そして何より「この50枚を聴けばジャズの真髄がわかる」という明快なコンセプトに惹かれ、ボクはこの本を手に取りました。
『ジャズ名盤入門』とは?
まずは本の基本情報と、著者である中山康樹さんについてご紹介します。
本の基本情報
- 書名: 『ジャズ名盤入門』
- 著者: 中山康樹
- 出版社: 講談社 (講談社現代新書)
- 発売日: 2005年9月17日
- ページ数: 232ページ
- ISBN-13: 978-4061498082
著者について
著者の中山康樹(なかやま やすき)さんは、日本の著名な音楽評論家です(1952年 – 2015年)。
ジャズ専門誌『スイングジャーナル』の編集長を務めた後、独立。ジャズはもちろん、ロックにも造詣が深く、特にビートルズやビーチ・ボーイズ、ボブ・ディランといったアーティストに関する評論やガイドブックを数多く執筆されています。
ジャズ界では非常に影響力のある評論家として知られていた方です。
本の内容と、いきなりの「つまずき」
この本は、その名の通り「この50枚を聴けばジャズの真髄がわかる」というコンセプトのもと、ジャズの必聴盤を厳選して紹介しています。
「BGM代わりに聴くだけでは気づかない、名盤ならではの魅力」を、ジャズの聴きかたをつぶさに解説してくれる入門書、というのが本書の触れ込みです。
内容としては、著者が選んだ50枚のジャズ・アルバムが紹介されている本です。
これを読んだら、あとは紹介されたアルバムを聴いてみるだけ。
そう思って、さっそく最初に紹介されているアルバムを愛用しているApple Musicで検索してみました。
…しかし、なかったんです。
「名盤なのに、ないんかい!」と、思わず心の中でツッコミを入れました。
Apple Musicの限界を見た気がしました。
とはいえ、この本が出版されたのは2005年です。
当時はCDで聴くのが主流の時代。
20年近く経った今、当時の名盤が必ずしも現在のストリーミングサービスで配信されているとは限りません。
これは本の問題というより、ストリーミング時代の権利関係の複雑さや、プラットフォームのラインナップの問題でもあります。
この「最初のつまずき」はありましたが、気を取り直して本を読み進めることにしました。
ボクが感じた「違和感」の正体
さて、この本を読んでみて、ボクが最も気になった部分。
それは、アルバム紹介が始まる前の、冒頭の部分に書かれていました。
読みどころは冒頭だけ、というわけでは決してないのですが、ジャズ初心者のボクにとって、この冒頭の「ジャズ観」にこそ、大きな違和感を覚えてしまったのです。
1. 音楽に「レヴェル」や「格」があるという考え方
著者は、名盤の定義をするにあたって、このように述べています。
音楽には、あきらかにレヴェルの違いがある。『格』といいかえてもいいだろう
ボクは、この考え方に強い違和感を覚えました。
音楽の良し悪しや好みは、徹底して主観的なものではないでしょうか。
それを「格」という言葉で序列をつけることには、大きな抵抗があります。
もちろん、ジャズが高度な音楽理論や即興演奏の技術に基づいていることは想像できます。
しかし、それを他のジャンルより「格」が上であるかのように位置づける表現は、読者によっては受け入れがたいものだと感じました。
ボクはハードロックが大好きですが、ハードロックがジャズより「格」が下だとはまったく思いません。
それぞれに異なる魅力と歴史、そして熱狂的なファンがいます。
ジャズの入門書ですから、ジャズという音楽の素晴らしさを伝えたい、その奥深さを知ってほしい、という著者の熱い思いは理解できます。
しかし、それを伝えるために、あえて他のジャンルと比較して「格が高い」と表現する必要があったのか、疑問に感じてしまいました。
2. 「きらい」という感情の否定
さらにボクが気になったのは、次の記述です。
その音楽の本質を聴き取ることができないとき、人はその音楽に『きらい』とレッテルを貼るのではないか。つまりは『理解できない』を『きらい』という言葉に置き換えているにすぎないともいえる
この部分を読んだとき、ボクは正直なところ戸惑いました。
音楽を「きらい」と感じる理由は、人それぞれです。
必ずしも「理解不足」だけが原因ではないとボクは思います。
単純に音色が好みでない、リズムが生理的に合わない、曲の雰囲気が今の自分の気分に合わないなど、「きらい」の理由は多様です。
もちろん、「きらい」の理由をうまく言語化できないことはあるかもしれません。
しかし、「理解できない」から「きらい」と断定してしまうのは、少し乱暴ではないでしょうか。
ボクはむしろ、理屈抜きで「好き」「きらい」を感じるのが音楽の面白いところだと思っています。
ジャズ入門書に本当に求めるものとは?
ジャズの入門書を読むのは、当然ですが、これからジャズを知ろう、つまりはジャズを「理解しよう」としている人間です。
ボクもその一人でした。
そんな読者に対して、「あなたは理解できないから嫌いだと言っているだけでは?」というニュアンスの言葉を投げかけることは、ジャズの世界に入ろうとしている初心者の心理的ハードルを、かえって上げてしまうのではないかと感じました。
ジャズに興味を持ち始めた人がこうした記述に出会うことで、
「自分には難しすぎる音楽なのかもしれない」
「理解できない自分はレベルが低いのかも」
と、萎縮してしまう可能性があります。
ボクは、入門書には、そのジャンルに足を踏み入れようとする初心者を、温かく迎え入れる姿勢が必要だと考えます。
音楽の素晴らしさを伝えることと、読者に優劣を感じさせることは、まったく別の話です。
ボクがジャズ入門書に期待したいこと
では、ボクのようなジャズ初心者が、入門書に何を求めているのか。ボクなりに整理してみました。
1. 初心者に寄り添う姿勢
「わからなくて当然ですよ」
「最初は難しく感じるかもしれないけど大丈夫」
という、安心感を与えてくれる語り口。
ジャズは確かに奥深い音楽ですが、だからこそ初心者が気後れせずに、安心して第一歩を踏み出せる入口を作ることが大切だと思います。
2. 具体的な「聴きどころ」の提示
「格」や「レヴェル」といった抽象的な言葉ではなく、
「この曲は、この楽器の音色に注目してみてください」
「このパートの即興ソロが素晴らしいんです」
といった、具体的な指針。
初心者は、まず何をどう聴けばいいのかが分かりません。
その「聴き方」を優しくガイドしてくれる内容が助かります。
3. 多様な「聴き方」の提案
「こういう気分のときには、このアルバムがおすすめ」
「作業用BGMとして流すならこれ」
「休日の夜にじっくり聴き込むならこれ」
というように、さまざまな楽しみ方を提示してくれる本が理想的です。
ジャズの楽しみ方は決して一つではないはずです。
4. 現代の音楽環境への配慮
これは2005年の本に求めるのは酷ですが、これから出版される入門書には期待したいポイントです。
ストリーミングサービス(SpotifyやApple Musicなど)で聴けるかどうか、YouTubeで視聴できるかなど、現代の音楽の聴き方に即した情報があると、さらに親切だと感じます。
代替案:ボクが提案するジャズの楽しみ方
もしボクと同じように、この本に少し違和感を覚えてしまった方へ。
あるいは、ジャズに興味はあるけれど何から聴けばいいか分からない方へ。
ボクなりのジャズの楽しみ方をいくつか提案させてください。
1. まずは気軽に「プレイリスト」から
SpotifyやApple Musicには、「ジャズ入門」「Jazz for Beginners」「カフェ・ジャズ」といったプレイリストが星の数ほどあります。
まずは理屈抜きで、こうしたプレイリストをBGMとして流してみて、「あ、この曲いいな」と思ったものをメモしていく方法がおすすめです。
理屈は後からいくらでもついてきます。
2. 「ジャズ・チル」や「カフェ・ジャズ」から入る
ボクがそうだったように、まずはBGMとして楽しむのも立派な入口です。
ジャズ・チルやカフェ・ジャズは、現代的にアレンジされていて非常に聴きやすいものが多く、ジャズへの抵抗感を和らげてくれます。
3. 好きなジャンルとの「融合」から聴く
ジャズとロック、ジャズとヒップホップ、ジャズとエレクトロニカなど、現代ではジャンルを融合させたクールな音楽がたくさんあります。
自分の好きなジャンルからジャズに近づいていくアプローチも非常に有効です。
4. ライブに行ってみる
もし機会があれば、ジャズバーやライブハウスで生演奏を聴く体験は格別です。
CDやストリーミングでは味わえない、その場の空気感、息遣い、即興演奏のスリルを肌で体感できます。
敷居が高そうに感じるかもしれませんが、初心者歓迎のお店や、ノーチャージで気軽に聴けるお店も多くあります。
5. 好きなアーティストの「ルーツ」を辿る
多くのロックやポップスのアーティストは、ジャズから何かしらの影響を受けています。
自分の好きなアーティストがどんなジャズを聴いていたのかを調べて、そこから聴いてみるのも面白いアプローチです。
中山康樹さんの功績も忘れずに
ここまで批判的なことを書いてきましたが、ボクは中山康樹さんがジャズ界に残した功績が非常に大きいものであることを疑っていません。
多くの人にジャズの素晴らしさを伝え、日本のジャズ文化の発展に多大な貢献をされた方です。
この本も、2005年という時代背景の中で、当時のジャズファンや、これから深く知ろうとする人々に向けて、熱い思いを持って書かれたものです。
時代が変わり、音楽の聴き方(CDからストリーミングへ)も変わりました。
それに伴い、入門書に求められるものも変化しています。
ボクが感じた違和感は、そうした時代の変化による「ズレ」のようなものかもしれません。
本書で紹介されている50枚のアルバムは、今でも多くのジャズファンから支持されているであろう歴史的な名盤ばかりです。
ボクが指摘した冒頭の記述に抵抗を感じたとしても、その後のアルバムガイド部分は、ジャズの歴史を知る上で参考になる情報が詰まっているはずです。
他のジャンル音楽について
今回はジャズについての本でしたが、以前にクラシックの本も読んでおります。
こちらはクラシックがかなり身近な感じになる内容でして、今までクラシックが堅苦しいもののように思えていた方にぜひ読んでいただきたい本です。
また、ボクの大好きなロックミュージシャンがお書きになった本も読んでおります。
日本人のロックシンガーが世界を相手に奮闘するお話で、音楽についての話というよりも旅行記的な感じなんですが、ロックの世界も垣間見えて楽しい本です。
まとめ:音楽に「正しい聴き方」なんてない
『ジャズ名盤入門』は、ジャズの歴史的な名盤を知るための「資料」としては価値があります。
ただし、ジャズの「入門書」としての姿勢については、ボクのように人によって評価が分かれるかもしれません。
ボクがこの記事で一番伝えたかったのは、音楽に「正しい聴き方」なんてないということです。
ジャズを理論から理解しようと努力することも素晴らしいことです。
一方で、ただBGMとして気持ちよく聴いて楽しむのも、同じくらい価値のあることです。
「格が高い」「レヴェルが違う」といった言葉に縛られる必要はまったくありません。
自分が心地よいと感じる音楽、ワクワクする音楽を、自由に楽しんでください。
それがボクの考えるジャズの、そして音楽全般の最高の楽しみ方です。
もしあなたが今、ジャズに興味を持ち始めているなら。
この本を読むかどうかは別として、まずは気軽に聴いてみることを心からおすすめします。
ストリーミングサービスで「ジャズ」と検索するだけで、そこには無限の音楽世界が広がっています。
理屈は後回しでいいんです。
「あ、この音、なんだか好きだな」という、その感覚を大切に。
ぜひ、あなたなりのジャズの世界を探検してみてください。
その過程で、「もっと深く知りたくなった」と感じたら、その時にいろいろな入門書を読み比べてみるのもいいでしょう。
ジャズは決して敷居の高い音楽ではありません。あなたの日常に寄り添ってくれる、素敵な音楽の選択肢の一つです。
ボクのように、お風呂での読書タイムのBGMから始めてみるのも、悪くないですよ。
この記事が、あなたの音楽ライフに少しでも役立てば嬉しいです。
さあ、一緒にジャズの世界に飛び込んでみましょう!
それではまた。
ありがとう!