元気ですか〜?!
どうも、ろけねおです。
53歳にもなって、出世の望みも薄れ、給料も平均以下。
そんな現状に疑問を抱き、ボクは転職サイトに登録し、エージェントから毎日のように面接の打診が届くようになりました。
「このまま、生活のためだけに働き続けるのか?」という問いが、頭から離れません。
そんなときに出会ったのが、ホモ・ネーモ著『働かない勇気』です。
働かない勇気
タイトルからしてパロディ感満載。誰もが思い出す『嫌われる勇気』に酷似した装丁とコンセプト。
正直、最初は怪しさを感じました。
ベーシック・インカムという希望の提示
本書の中で繰り返し語られるのが「ベーシック・インカム」という概念です。
これは、すべての国民に最低限の生活費を無条件で支給するという社会制度で、「働きたい人だけが働けばいい」という理想社会の実現を目指すものです。
確かに理屈は通っています。
働くことが趣味や自己実現の延長になるなら、人はもっと自由に、幸福に生きられるという主張。
生きるためだけの苦しい仕事から解放されるのなら、誰もが幸せになれるかもしれません。
ただ現実問題として、すべての人が敬遠するような仕事もあります。
誰かがやらなければならない役割をどうするのか。
それを解決しない限り、ベーシック・インカムは理想論の域を出ません。
勇気だけで人生は変えられるのか?
ボクは以前、『好きなことだけして生きていく』という本を読んで、「ああ、結局は勇気の問題なんだな」と思いました。
自分の好きなことを貫いて生きていくには、社会的な摩擦を乗り越える覚悟と勇気が必要だ、と。
『働かない勇気』もまた、その流れを汲んでいるように見えました。
しかし、この本を読み進めていくうちに、単なる勇気だけではどうにもならない現実に直面します。
つまり、社会制度の後押しがなければ「働かないで生きていく」ことは叶わないのです。
フィンランドの実験と“現実の壁”
実は、2017〜2018年にフィンランドで失業者2000人を対象にベーシック・インカムの社会実験が行われました。
しかし、その後制度が導入されていないことを考えると、持続可能な仕組みではなかったということなのでしょう。
ボクとしては、生活保護を受けたくても制度のハードルが高くて申請できない人々の救済策として、ベーシック・インカムには一定の意味があると思います。
デモとビラ配りという“オチ”に思う
本書のクライマックスで、青年がベーシック・インカム実現のためにデモ行進とビラ配りを始める描写があります。
この展開には正直、肩透かしをくらいました。
理想を語るだけでなく行動を、というメッセージはわかりますが、それが今の日本で本当に有効なのか、疑問が残ります。
だからといって現状維持で良いとは思いません。
せめて選挙には行こう。
そんな現実的な決意を、ボクはこの本を通じて新たにしました。
総評:勇気と制度、両方が必要な時代
『働かない勇気』は、勇気だけではどうにもならない時代のリアルを浮き彫りにします。
ベーシック・インカムという理想の社会像を描きながらも、そこに至る道は決して平坦ではありません。
生活のために働く現状に疑問を抱いている人や、これからの生き方を模索している人には、考えるきっかけになる一冊です。
それではまた。
ありがとう!
