元気ですか〜!?
どうも、ろけねおです。
今回ご紹介いたします本は、元外交官の佐藤優さんのお書きになった本でございます。
読書の技法
「読書にもテクニックがある」 この本のタイトルからそんなメッセージを感じ取り、ボクは『読書の技法』を手に取りました。
その「技術」とは一体どんなものなのか、知りたくて仕方がなかったのです。
というのも、ボクは30歳になるまで、ほとんど本というものを読んでいませんでした。
だから、読書の技術的な側面に関しては、子供の頃から本に親しんできた人たちに比べて、きっと大きく劣っているはずです。
それゆえに、「読書の技術」という言葉には、強く興味を惹かれてしまうのです。
実は、本屋さんでこの本を最初に見つけた時、著者である佐藤優さんの表紙写真での鋭い眼光にビビってしまい、ボクは思わず後ずさりして一旦読むのを諦めました。
※商品リンクを張っておりますので、その眼光の鋭さをご確認ください。
しかし、なぜか気になって売り場に戻り、改めてタイトルをよく見ると、「知識が身につく」そして「速読術」という言葉が目に飛び込んできたのです。
30歳を過ぎてから、そこそこ本は読んできたつもりでした。
しかし、本で読んだことがイマイチ自分の人生に活かされていないように感じていたのです。
なぜ本で得た知識が活かされないのか。理由はもう単純なことで、本に書かれていることを「実行しない」からです。
「凄い!」とか「タメになる!」とか思っても、そこで終わってしまう。
感激して、それで満足してしまうのです。
「知識が活きない」「内容を忘れる」「読むのが遅い」ボクの3つの悩み
さらにボクには、読書に関する悩みがもう二つありました。
一つは、せっかく読んだ内容をスカッと忘れてしまうこと。
もう一つは、読むのがとてつもなく遅いことです。
読み切るのに時間がかかりすぎるあまり、次に読みたい本が現れると、そっちが気になって少し読んでしまう。
また別の本が気になって手をつけてしまい、結局どれもが中途半端なまま内容を忘れ、再び最初から読む羽目になる……ということを頻繁に繰り返していました。
改めて整理すると、ボクが抱えていた読書の悩みは次の三つでした。
- 本で得た知識を実行に移せないこと。 読んで感動するだけで終わってしまい、せっかくの学びが日常生活に活かされていませんでした。もしかしたら、「凄い本を読んだ」「タメになる本を読んだ」という事実だけが欲しかったのかもしれません。
- 読んだ内容を忘れてしまうこと。 実行さえすれば忘れることもないのでしょうが、実行を後回しにしているうちに記憶が薄れていってしまうのです。
- 読むスピードが遅いこと。 一冊読み終えるまでに時間がかかりすぎて、途中で他の本に目移りしてしまい、結局どの本も中途半端になってしまうのです。
「知識が身につく」方法と「速読術」がここに記されているのなら、今のボクにとって、この本は読むのにぴったりのタイミングだと思えました。そして、読書のテクニックを学ぶからには、今度こそ一つくらいは実行しなくては、と心に誓いながらページをめくり始めました。
『読書の技法』とはどんな本か?
著者・佐藤優氏は「知の巨人」
著者の佐藤優さんは、作家であり元外務省主任分析官という経歴を持つ方です。
1960年東京都生まれ。同志社大学大学院神学研究科を修了後、外務省に入省されました。
在英国日本国大使館や在ロシア連邦日本国大使館での勤務を経て、本省国際情報局分析第一課で主任分析官として対ロシア外交の最前線で活躍されました。
『国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて』で第59回毎日出版文化賞特別賞、『自壊する帝国』で第5回新潮ドキュメント賞と第38回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞されるなど、数多くの著書があり、まさに「知の巨人」と呼ぶにふさわしい方です。
月300冊を読む「佐藤流」読書術の体系化
本書は2012年7月27日に東洋経済新報社から出版され、大反響を呼んで13万部を突破したベストセラーです。『読売新聞』『週刊文春』『週刊新潮』など多くのメディアでも紹介された話題の書でもあります。
佐藤さんは月平均300冊、多い月にはなんと500冊以上も本を読むそうです。
本書では、そんな佐藤流「本の読み方」が初めて完全に体系化され、公開されています。
冒頭のカラーページでは、著者の仕事場や本棚の中身、本やノートへの実際の書き込みの写真も掲載されており、非常に具体的です。
本書では主に三つの読書技法が紹介されています。
- 「熟読」の技法 難解な本をどう読みこなすか、という問題に答えてくれます。知りたい分野の本は3冊買って真ん中から読む方法、本全体にシャーペンで囲みを作って重要箇所を抜き書きした「読書ノート」の作成法、そして熟読の要諦は同じ本を3回読むことなど、具体的なステップが示されています。
- 「速読」の技法 大量の本をどう速く読むか、という課題に取り組みます。1冊5分の「超速読」と30分の「普通の速読」の使いこなし方、「超速読」で読むべき本を仕分けして当たりをつける方法、「普通の速読」で「インデックス」をつける読み方などが解説されています。
- 実践的な本の読み方(教科書・小説など) 読書の要は「基礎知識」であり、基礎知識のない本は速読しても「指の運動」にしかならない、という厳しい指摘がなされています。基礎知識を身につける最高の本として高校の教科書と学習参考書を挙げ、その活用法や、小説・漫画を「娯楽+代理経験+社会の縮図」として読む方法が紹介されています。
巻末には特別付録として「本書に登場する書籍リスト」も付いており、佐藤氏の知の体系に触れることができます。
読書は「実行」してこそ意味がある
この本を読んでボクが最も強く感じたのは、「実行あるのみ」ということです。
これまで「凄い」「タメになる」と思っても実行してこなかった。
それは、瞬間的に感動していただけで、もしかしたらボク自身は心の底から凄いともタメになるとも思っていなかったのかもしれない——。
この気づきは、ボクにとって大きな転機になりました。
読んで満足するだけの読書は、もう終わりにしなくてはなりません。
「知識が身につく」とは「書いて覚える」こと
では、どうすれば「知識が身につく」のか。
本書が示す答えは、非常にシンプルでした。それは「書いて覚える」ということです。
本は、ただ読んだだけでは頭に入らないのです。
これは、これまでに読んだ読書術関連の書籍でも目にした内容でした。
しかし、本書ではその方法が実に丁寧に解説されており、これまでに読んだどの本よりもずっとわかりやすく、納得感がありました。
「自分に身についていないからこそ、また同じようなノウハウ本を読んでしまっているんだな……」と、深く反省しました。
知識を定着させるためには、手を動かすことが不可欠だったのです。
「熟読」の基本は3回読むプロセスにある
本書で紹介されている「熟読」は、単にゆっくり読むことではありません。
基本的に、本というのは3回読むものだそうです。
- 1回目: 「これは!」と思ったところに線を引いたり付箋を貼ったりしながら、通読します。
- 2回目: 1回目で線を引いたところをノートに書き写します。そして、書き写した箇所に関する自分の考えや思い、疑問などを書き加え、「読書ノート」を作ります。
- 3回目: 目次で本の流れ(論理構造)をしっかり頭に入れ、結論部分を(必要なら)3回読み直します。
驚くべきことに、これだけやってもすぐにはその知識が自分のものにはなっていないそうです。
著者である佐藤さんでさえ、半年くらい経ってから、ここで獲得した知識が本当に身になっていると実感されるとのこと。
そう、知識には「熟成期間」が必要なのです。
この事実は、読んですぐに変化がないと焦りがちだったボクにとって、大きな救いとなりました。
そして、この手間のかかる「熟読」をする価値のある本を選ぶために、「速読」が存在するという仕組みになっているのです。
速読は「知らない分野」では不可能という現実
ボクが期待していた「速読術」についても、衝撃的な事実が書かれていました。
それは、「速読は、さっぱりわからない分野では絶対にできない」ということです。
すでに十分な知識がある分野か、あるいは前述の熟読法によって付け焼刃でも一応の基礎知識を持っている分野。
それ以外の本を速読しようとしても、得られる成果はほとんどない、と佐藤さんは断言しています。
知らない分野の本は、超速読も速読もできない。
これは速読法の大原則だということでした。
この指摘は、ボクにとってまさに目から鱗でした。
「速読術」という魔法のようなテクニックさえ手に入れれば、どんな本でも速く読めるようになると思っていたのです。
しかし、現実はそんなに甘くありませんでした。
速読は、まず基礎知識がなければ成り立たない技術だったのです。
だから、もともと速読ができる人であっても、全く知らない知識ばかりが書かれた本は速読できない、ということ。
技法の習得とは、地道な知識の積み重ねの上に成り立つものだと痛感させられました。
知識があれば速く読める、という納得の経験
「確かに基礎知識があると、かなりの速さで読めるな」というのは、ボク自身にも経験がありました。
かつて大学生の頃、ボクはプロレスに夢中でした。
毎週『週刊プロレス』を購読していましたが、当時は「活字プロレス」と呼ばれていた時代で、写真も多いのですが、それ以上に細かい活字がびっしりと詰まっていました。
若い頃はサッパリ本を読んでいなかったボクですが、なぜかこの雑誌だけは、あっという間に読み終えることができたのです。
なぜ読めたのか。
今になって思えば、それはプロレスに関する基礎知識が頭にしっかり入っていたからに他なりません。
選手の背景、団体間の関係性、過去の因縁。それらがわかっているから、記事を読むスピードも格段に上がっていたのです。
佐藤さんの指摘は、ボク自身の体験からも強く納得できるものでした。
速読の真の目的は「選書」にあった
知りたいことを頭に入れるために本を読むわけですが、まるっきり知らないことは速くは読めません。
つまり、ボクが本を読むのが遅いのは、単純に知らないことが多すぎる、ということになります。
じっくりと知識を積み上げていくしかないのです。
ただ、ボクももういい大人ですので、そんなに時間がたっぷりあるわけではありません。
読んだほうがいい本と、読まなくてもいい本をきっちり選別しなければ、貴重な時間を無駄にしてしまいます。
そのために、まずはサラッと「速読」して、自分が本当に「熟読」すべき本を選定することが大事になってくるのです。
この「選書のための速読」という考え方は、ボクにとって非常に新鮮でした。
速読は、単に速く情報をインプットするためだけの技術ではなく、自分にとって本当に必要な一冊を見極めるための「フィルター」としての技術でもあったのです。
『読書の技法』がボクの読書を変える
この本を読んで、ボクの読書に対する考え方は大きく変わりました。
まず、読書ノートを作ることの重要性を心の底から理解できました。
ただ読むだけでは知識は定着しない。「書き写し」、そして「自分の考えを加える」というアウトプットを経て、初めて知識が自分のものになっていくのだと気づかされました。
次に、速読と熟読を明確に使い分ける、という発想を得られました。
すべての本を同じように丁寧に読む必要はなく、まずは速読で自分に必要な本を選び、選んだ本だけを徹底的に熟読すればいい。
この考え方は、限られた時間の中で効率的に読書をするための大きなヒントになりました。
とにかく、これからは読書ノートを作ります。
そうやって地道に知識を積み上げていきます。
そうすれば、どんどん知識が身について、結果的に読むスピードも早くなっていくはず。
まさに一石二鳥ですね。
読書に関してボクと同じような悩みを持っている人、もっと効率的に本を読みたい人には、ぜひ手に取ってほしい一冊です。
特に、「本は読んでいるけど、なんだか身になっていない気がする」と感じている人には、強くおすすめします。
この本に書かれている技法を、まずは一つでも実行すれば、きっとあなたの読書生活は変わるはずです。
本当に、読んで良かったと思える本でした。
それではまた。
ありがとう!