元気ですか〜!?
どうも、ろけねおです。
今回ご紹介いたします本は、福田和也さんがお書きになりましたインプットとアウトプットに関する本でございます。
ひと月百冊読み、三百枚書く私の方法
本屋さんで偶然見かけた一冊の本。
『ひと月百冊読み、三百枚書く私の方法』
この強烈なタイトルに惹かれてペラペラとページをめくった瞬間、「これは買わなければ!」と直感的に思いました。
ボクはこうしてブログという公共の場で文章を公開しているわけですが、自分の文章力にはまったく自信がありません。
せっかく訪れてくれた人の時間を無駄にしてしまわないよう、少しでもマシな文章を書けるようになりたいと常に思っています。
だから、「文章術」に関する本には、ついアンテナが向いてしまうのです。
同時に、「読書術」に関する本も気になって仕方ありません。
というのも、ボクが読書を趣味にしたのは30歳も半ばを過ぎてから。
読書家と名乗るにはキャリアが浅く、圧倒的に読書量が足りないのです。
何より、本を読むスピードが恐ろしく遅いのがコンプレックスでした。
「もっと速く、もっとたくさん本が読めたら…」 「もっと心に響く文章が書けたら…」
そんなボクにとって、この本はまさに願ったり叶ったりの一冊に見えたのです。
『ひと月百冊読み、三百枚書く私の方法』とは?
まずは本書の基本的な情報からご紹介します。
- 書籍名: ひと月百冊読み、三百枚書く私の方法
- 著者: 福田 和也
- 出版社: PHP研究所
- 発売日: 2014/2/18
著者の福田和也さんは、1960年生まれの文芸評論家であり、慶應義塾大学の教授も務められています。
『日本の家郷』で三島由紀夫賞、『地ひらく』で山本七平賞を受賞されるなど、輝かしい経歴を持つまさに「知の巨人」です。
そんな方が、一体どんな方法で膨大な量のインプットとアウトプットをこなしているのか、興味が尽きませんよね。
読書の常識が変わる!速く、深く読むための秘訣
本書を読んで、特に「なるほど!」と膝を打ったのが読書に関する部分でした。
多くの速読術の本と同じように、本書でも「読む前に、読む目的をハッキリさせること」の重要性が説かれています。
しかし、福田さんの指摘はさらに一歩踏み込んでいました。
それは、「同じ本でも、目的を変えることで全く違う読み方ができる」ということです。
例えば、ある小説を読むにしても、
- 「純粋に物語を楽しむ」のが目的なのか
- 「ブログのネタを探す」のが目的なのか
- 「文章表現のテクニックを学ぶ」のが目的なのか
によって、注目すべき箇所も、読み終えた後の印象もまったく変わってきます。
この目的設定が曖昧なままだと、読むスピードは格段に落ちてしまうとのこと。
目的がふんわりしがちなボクには、耳の痛い話でした。
さらに、「自分にフィットする本を選ぶこと」も速読の秘訣だと述べられています。
そのために有効なのが、「信用できる書評家を何人か見つけておくこと」。
「このジャンルならこの人」「こういう切り口の本を探すならあの人」というように、自分の指針となる書評家を設定しておく。
そうすれば、自分に合った良書に効率よく出会え、結果的に読書スピードも上がるというわけです。
これも今まで考えたことがありませんでした。
まずは信頼できる書評家を探すことから始めてみようと思います。
憧れのあの人のように書く!楽器に学ぶ文章上達法
次に、アウトプットである「書く」技術についてです。
これも読むことと同じで、「なんとなく上手い文章が書けるようになりたいな〜」という漠然とした目標では話にならない、と著者は断言します。
「どういう文章が書けるようになりたいのか」を明確にすること。そして、目標となる書き手を見つけたら、その人の文章を徹底的に真似て書いてみる(書き写してみる)こと。
これが上達への近道だというのです。
この説明で、著者は楽器の練習を例えに出していました。
楽器を始めるにあたってまずはコピーから入る
これはベース弾きのボクにとって、非常にしっくりくる話でした。
憧れのプレイヤーのようになりたい、という思いから楽器を手に取り、そのプレイヤーのフレーズを必死にコピーする。
そうするうちに、演奏の癖や音作りのこだわり、音楽理論までが自然と身体に染み込んでくるのです。
文章もこれと同じで、まずは憧れの人の文章を「完コピ」することから始める。
ただ、文章の場合は書き写すこと自体は簡単です。
だからこそ、「なぜこの文章に惹かれるのか」を徹底的に分析する必要がある、と著者は言います。
- 接続詞の使い方
- 一文の長さやリズム
- 漢字とひらがなのバランス
- 比喩表現の巧みさ
憧れの文章には、必ず憧れるだけの理由があります。
その理由を自分なりに探って理解することが、自分の血肉にしていく上で不可欠なのです。
情報を集め、それを元に何かを創り上げるというプロセスは、音楽も文章も変わりません。
自分が何を表現したいのかを明確にすること。ブログを書くという行為の奥深さを、改めて思い知らされました。
心の転機に?心を揺さぶられた「不完全燃焼」という言葉
実は、この本を読んで最も心が揺さぶられたのは、こうした具体的なノウハウの部分ではありませんでした。
それは、著者自身の過去の経験から語られる、仕事に対する心情の吐露でした。
でも、何というのでしょうか、一生懸命になれなかったのですね。どうしたって、全てを捧げるという充実感を持つことができなかった。 その、何というのでしょう、打ち込めないというか、不完全燃焼の実感というのは、かなり強く手触りとして、今も残っているのです。(P.182より)
この一文を読んだとき、雷に打たれたような衝撃を受けました。 ボクが今の仕事に対して長年感じてきたモヤモヤの正体、それはまさに『不完全燃焼の実感』だったのです。
生活のために、誰かに迷惑をかけない程度には仕事をこなす。
でも、どこかで「何かが違う」と感じている。仕事なんてそんなものだと、自分に言い聞かせてきました。
その正体不明の感情に、これほど的確な名前を与えてくれたことに、ただただシビレました。
そして、自分が「完全燃焼できるもの」で生計を立てている著者の福田さんが、途方もなく羨ましくなったのです。
もちろん、それは著者自身が悩み、考え抜いてきた結果手に入れたものであることも理解しています。
翻って自分は、そこまで真剣に「完全燃焼できる何か」を探してこなかった。その責任は自分にあるのだと、痛感させられました。
合わせて読みたい!インプット・アウトプット術のおすすめ本
本書を読んでインプットやアウトプットに関心を持った方には、以下の本もおすすめです。
- 野村進 著『調べる技術・書く技術』
こちらは、より実践的な取材やライティングの技術に特化した一冊です。ジャーナリスティックな視点から、情報の集め方と文章の組み立て方を学びたい方におすすめです。
- 奥野宣之 著『だから、新書を読みなさい』
新書に的を絞り、多読によって教養を深めていく方法を提案しています。「知の体系」をどう作り上げていくかという点で、本書と合わせて読むと面白い発見があるかもしれません。
【まとめ】あなたは何に「完全燃焼」しますか?
『ひと月百冊読み、三百枚書く私の方法』は、単なる読書術や文章術のノウハウ本ではありませんでした。
もちろん、インプットとアウトプットの効率を上げるためのヒントは満載です。
しかし、それ以上に本書が問いかけてくるのは、「あなたは何のために、その知識や技術を使うのですか?」という、もっと根源的な問いです。
ボクにとって、完全燃焼できるものは何なのか。
それは、こうしてブログを書くことなのかもしれない。
少なくとも、今の仕事ではないことだけは確かです。
今年で53歳になるボクが今求めているのは、人生の最後に「燃え尽きた」と心から思えるような充実感です。
あなたにとって、完全燃焼できるものは何ですか?
この本は、そんな人生の宿題を思い出させてくれる、思わぬ感動を与えてくれた一冊でした。
文章術や読書術に関心がある方はもちろん、日々の生活に何か物足りなさを感じている方にも、ぜひ手に取ってみてほしいと思います。
それではまた。
ありがとう!
