元気ですか〜?!
どうも、ろけねおです。
今回はご紹介いたします本は実業家の成毛眞さんのお書きになった本でございます。
本は10冊同時に読め!
「無茶を言う本だな」 それが、成毛眞さんの『本は10冊同時に読め!』というタイトルを見たときのボクの第一印象でした。
1冊を読み通すことすらハードルが高いのに、10冊同時に読むなんて、常軌を逸しているとさえ思いました。
ですが、あのマイクロソフト日本法人の元社長である成毛眞さんが、35歳という若さで社長になれた秘訣がこの読書法にあるというのです。
そう聞かされては、読まずにはいられません。
期待と少しの疑念を抱きながら、ボクはこの衝撃的な一冊を手に取りました。
『本は10冊同時に読め!』の基本情報
まずは本書の基本的な情報からご紹介します。
- 書名:本は10冊同時に読め!―本を読ない人はサルである!生き方に差がつく「超並列」読書術
- 著者:成毛眞
- 出版社:三笠書房(知的生きかた文庫)
- 発売日:2008年1月21日
- ページ数:171ページ
著者プロフィール:成毛眞(なるけ まこと)さん
成毛眞さんは、書評サイト「HONZ」の代表としても有名です。
1979年に中央大学商学部を卒業後、アスキーなどを経て1986年にマイクロソフト株式会社に入社。
1991年には、なんと35歳の若さで代表取締役社長に就任されています。
2000年に同社を退社した後は、投資コンサルティング会社インスパイアを設立。
元早稲田大学ビジネススクール客員教授でもあり、HONZや週刊新潮、日経ビジネスなどで書評を寄稿されています。
本書で提唱される「超並列」読書術
この本が提唱する読書術は、ボクたちがこれまで「常識」としてきた読書の概念を根底から覆すものばかりです。
「読書に目的を持つな」
「本は最後まで読む必要はない」
「仕事とはまったく関係のない本を読め」
「成功本は今すぐ捨てよ」
このように、思わず「えっ?」と声を上げてしまうような、驚きの主張が次々と飛び出します。
本書の核となるのは、まったく違うジャンルの本を同時並行で読む「超並列」読書術です。
著者によれば、この読書法を実践することで、集中力が増し、発想が豊かになり、圧倒的な情報収集力が身につくといいます。
本を10冊同時に読めば、人生が10倍面白くなる。
そんな、これまでの読書人生をリセットするようなメソッドが詰まった一冊です。
53歳で読んで吐きそうになった理由
ボクはこの記事を書いている時点で53歳です。 正直に告白しますと、40代以降になってからこの本を読むと、その衝撃的な内容に吐きそうになります。
40代以降は「手遅れ」という衝撃
本の後半に、こんな恐ろしい一節が登場するんです。
「さて、40代・50代のベテラン社員で働きアリという人はどのような本を読めばいいのか。そんなものはない。もう手遅れなので、何を読んでもムダである。本人も、この先出世の見込みもないことぐらいはわかっているだろう。あとは働きアリに徹するか、早期退職してそば打ち教室にかよってソバ屋をはじめるか、選択肢はそれぐらいではないだろうか」
…身も蓋もないとは、まさにこのこと。
この一文を読んだ瞬間、ボクの心は完全に砕かれました。
何を隠そう、ボクは53歳にして「働きアリ」です。
つまり、成毛さんの定義によれば「手遅れ」な存在なのです。
言われなくても、そんなことは書いてある通り、自分でも薄々わかってはいます。
わかってはいるんですが、こうもハッキリと、活字でガツンと断言されてしまうと、やはりキツいものがあります。
ソバ屋さんも被害者?
でも、これを読んで一番キツい思いをしているのは、もしかしたらソバ屋さんかもしれません。
「ソバ屋なんて、退職後の趣味の延長でやれるものだ」と、暗におっしゃっているわけですから。
ボクはソバ屋さんの経営がそんなに甘いものだとは思いませんが…。
この本は、全編を通して非常に厳しい物言いで貫かれています。
ボクはこの「手遅れ」という言葉を、「この本を読んでしまったボクを含めた手遅れ世代の者たちに対して、あえて厳しい言葉で奮起を促しているのだ」と解釈することにしました。
そう自分に言い聞かせ、なんとか最後まで読み切りました。
幸い(?)、この吐きそうになる一節は後半に出てきます。
前半は希望に満ちた内容、つまり「この読書術を実践すれば、すごい未来が待っている」という話が中心です。
ですから、もしあなたがまだ若いなら、ぜひ前半だけでも読んでみることを強くおすすめします。
コンピュータに負けない「ひらめき」を得る読書法
では、なぜ成毛さんはそこまでして「多ジャンルの本を読め」と主張するのでしょうか。
そこには、これからの時代を生き抜くための重要なヒントが隠されていました。
AIに代替されない人材になるために
これからの時代、ボクたちの仕事の大半はコンピュータ、つまりAI(人工知能)に取って代わられると言われています。
そうなった時、コンピュータには出来ないことが出来る人間でなければ、社会から「不要」とされてしまうかもしれません。
では、コンピュータが苦手なこととは何でしょうか。
それが、クリエイティブな思考、新しいアイデアを生み出すこと、そして課題を解決する提案力といった能力です。
この「ひらめき」や「発想力」を鍛えるためにどうすればいいのか。
その答えこそが、膨大なインプットであり、多ジャンルの情報を脳に取り込むことなのです。
脳を活性化させる多読の仕組み
人間の脳にも、会社のようにいろんな部署があるそうです。
そして、入ってくる情報のジャンルによって、イキイキと活性化する場所(部署)が違うのだとか。
つまり、同時に10冊、それもすべて違うジャンルの本を読むと、脳の様々な場所が同時に刺激されるわけです。
例えば、「歴史小説」「宇宙物理学の入門書」「最新のマーケティング理論」「料理のレシピ本」「哲学書」…といった具合です。
これを何回も繰り返して脳に大量の情報を流し込むことで、ある瞬間、それまでバラバラだった情報が結びつき、パッと「ひらめき」が生まれる。そういう仕組みらしいのです。
ひらめきには「材料」が必要
新しいアイデアというと、何もないところからポッと電球が灯るように生まれるイメージがあるかもしれません。
しかし、実際にはそうではありません。
新しいアイデアとは、すでにある頭の中の情報と情報をつないだり、混ぜ合わせたり、アレンジの仕方を変えたりすることで生まれる「既存の知の組み合わせ」なのです。
ひらめきたくとも、頭の中にその「材料」となる情報がなければ、ひらめきようがありません。
この「情報同士を予期せぬ形で結合させる」ひらめきこそが、コンピュータには到底マネの出来ない、人間に残された領域なのです。
これが今、出来ない人は非常にしんどい時代になる、ということです。
いつAIから「いらない人」認定を受けてもおかしくありません。
だからこそ、多ジャンルの本を同時並行で読むことが、これからの時代を生き抜くための強力な武器になるんですね。
この本は若い人のための読書術
この本を最後まで読んで痛感したのは、これは「若い人」のために書かれた本だということです。
35歳で社長になるための読書
著者の成毛さんが35歳という若さでマイクロソフトの社長になれたのは、ひとえにこの読書法のおかげである、とご本人がおっしゃっています。
裏を返せば、「35歳で社長になりたかったら、若いうちからこの方法で本を読んどけ」という強烈なメッセージです。
だから、この本を真に活かせるのは、遅くとも30代が限界なのです。
ボクが手に取ったのは「知的生きかた文庫」ですが、「50過ぎのオッサンになってから読むなよ」という、著者からの無言の圧力を感じずにはいられませんでした。
孔子の教えと重なる年齢の節目
かの孔子は、こうおっしゃっています。
「子曰わく、吾十有五にして学に志し、三十にして立ち、四十にして惑わず、五十にして天命を知る、六十にして耳従う、七十にして心の欲する所に従いて矩を踰えず」
わかりやすくすると、「わたしは15歳で学問に志し(志学)、30歳になって独立した立場を持ち(而立)、40歳になってあれこれと迷わなくなり(不惑)、50歳になって天命をわきまえ(知命)、60歳になって人の言葉が素直に聞けるようになり(耳順)、70歳になると思うままにふるまっても道をはずれないようになった(従心)」という意味です。
孔子ですら「三十にして立つ」と言っているわけですから、30歳で独立した立場になっていなければならない。
それを53歳になってから読んでいるボクは、やはり「時既に遅し」というわけです。
それでもボクは読書を続ける
「手遅れ」「ムダである」と散々な言われようでした。
しかし、ボクはこれからも読書を続けようと思っています。
「Never too late」という希望
ボクの好きなX.Y.Z.→Aというバンドの曲に、「Never too late」という曲があります。 (アルバム「Learn from Yesterday! Live for Today! Hope for Tomorrow!」に収録されています)
成毛さんは「もう何をやっても手遅れだ」とバッサリ切り捨てますが、一方でX.Y.Z.→Aは「遅すぎるなんてことはない」と勇気をくれます。
ボクは後者を信じたい。
だから、これからも読書を続けます。
さすがに10冊同時に読むのは難しいかもしれませんが、実は今、4冊ぐらいを同時並行で読んでいます。
(正直、常に頭が混乱していますが…) 成毛さんからすれば「10冊読まないと話にならない」のかもしれませんが、ボクなりのペースで続けていくつもりです。
他の読書術について
ちなみにこれまで読みました読書術についての本もご紹介いたします。
乱読をオススメする本です。
成毛さんの10冊同時に読めという主張にも通ずるところがあるかと。
さらに
こちらはビジネスで役に立たせるための読書術を紹介している本なのですが、こちらも成毛さんからすると、50代の男が読んでも意味がないって言われそうな内容です。
学び続けることの意味
孔子の言葉によれば、60歳になれば人の言葉が素直に聞けるようになる(耳順)そうです。
その境地に少しでも近づくために、これからも勉強はしておこうと思います。
手遅れと言われようが、働きアリと認定されようが、読書を通じて自分の頭を刺激し続けることには、きっと意味があるはずです。
この本は、確かに若い世代に向けて書かれた、非常に厳しい「戦略の書」です。
ですが、50代のボクが読んでも、得るものはたくさんありました。
厳しい言葉に心を砕かれながらも、「多ジャンルの本を読むことの重要性」や「ひらめきを生む読書法の仕組み」を知ることができたのは、大きな収穫でした。
もし、あなたが30代以下なら、今すぐこの本を手に取ってください。
そして、無茶だと思える「10冊同時読書」を始めてみてください。
もし、あなたがボクと同じ40代、50代なら、「手遅れ」という言葉に傷つきながらも、一緒に「Never too late」を信じて読書を続けましょう。
遅すぎるなんてことはない。
ボクはそう信じて、今日も新しい本を開きます。
それではまた。
ありがとう!