元気ですか〜!?
どうも、ろけねおです。
今回ご紹介いたします本は佐渡裕さんのお書きになった『棒を振る人生』でございます。
棒を振る人生
子供の頃、クラシック音楽ってなんであんなに眠たくなるんだろう?って思っていました。
大人になれば退屈せず聴けるようになるのかな〜って、なんとなく考えていたんです。
実際に大人になった今、クラシックが退屈で眠くなることはほとんどなくなりました。
でも、そう考えると小学校の音楽の授業でクラシックを聴くことって、何か意味があったのかな?って疑問に感じることもあります。
時々、テレビで葉加瀬太郎さんがクラシックや作曲家について解説されているのを見かけますが、その話が本当に楽しいんです。
もし、小学校の先生が授業の前にああいう面白い話をしてくれていたら、クラシックに対する印象も全然違っていたかもしれません。
結局、勉強が嫌いな子供って多いと思うんですが、それは先生が子供の興味を引くような話をしないだけなんじゃないでしょうか。
勉強は強制的にやらされるもの、という意識が強いので、本当に勉強が好きな子だけが成績を伸ばせるんだと思います。
もしかすると、教えている先生自身も、自分が担当している科目を心から楽しいとは思っていないのかもしれませんね。
少なくともボクが学校に通っていた頃は、自分の学問について面白話を交えながら興味を持たせようとしてくれる先生は皆無でした。
それはさておき、いい大人だし、クラシックを嗜んでおくのもいいかなと思い、佐渡裕さんの『棒を振る人生』を手に取りました。
クラシックに全く詳しくないボクでも、この本は本当に楽しく読めました。
それにしても、このタイトル「棒を振る人生」は素晴らしいですよね。
「人生を棒に振る」と並び方を変えるだけで、全く違う意味になる。このセンスにやられました。
子供の時に佐渡裕さんに出会いたかった
著者の佐渡裕さんがどれほどすごい指揮者なのか、正直ボクは全然わかっていませんでした。
でも、『題名のない音楽会』で佐渡さんが司会をされているときは、なぜかよく観ていたんです。
佐渡さんが司会になる前からこの番組はたまに観ていましたが、佐渡さんになってからは圧倒的に観る回数が増えました。
ボクは単純に佐渡さんの人柄が好きだったんだと思います。
だから、佐渡さんが本を出していると知った時は、迷わず買ってしまいました。
小学校時代のボクは、J-POPの次に、半ば強制的にクラシックを耳にする環境にいました。
しかし、その音楽はボクにとっては遠い存在で、全く馴染みませんでした。
学校行事でオーケストラの演奏を観に行ったこともありましたが、大抵は途中で寝てしまっていました。
きっと、それなりのレベルのオーケストラだったと思うので、今考えると本当にもったいないことをしたなと思います。
でも、興味が湧かないから、周りが「良いものだ」と言っても、ちゃんと聴く気になれなかったんです。
そもそも音楽の授業自体がつまらなかったので、男子のほとんどは音楽が嫌いになっていました。
そのおかげで、高校生になってバンドを始めて「音楽ってこんなに楽しいものなんだ!」と知った時の衝撃は強烈でしたね。
一方、女子はピアノを習っている子が多かったこともあり、男子ほど音楽を嫌っている印象はありませんでした。
この本の中には、佐渡さんが子供たちにクラシックを身近に感じてもらうための活動をされている話も出てきます。
もし佐渡さんのような方が音楽の先生だったら、クラシックに対する抵抗感はなくなっていたかもしれません。
いや、それどころか、音楽の授業を本当に意味のあるものにするなら、すべての音楽の先生が佐渡さんのような気持ちで子供たちと向き合うべきなんじゃないか、とさえ思えてきました。
面白がれる話を聞きたかった
学校の先生たちは、自分が教えている科目が本当に好きだったんでしょうか?
そして、生徒にもその科目を好きになってもらいたいと思っていたんでしょうか?
学校を卒業して大人になってから、本当にそう思います。彼らは教えることが仕事なだけで、その科目を好きになってもらおうなんて思っていなかったのかもしれません。
でも、好きなことを語る人の話って、大抵面白いんですよね。
たとえそれが、それまで全く興味がなかった分野だとしても。
例えば、数学が嫌いな人って多いですよね。
「社会に出て何の役に立つんだ?」って毛嫌いする人も、老若男女問わずたくさんいます。
でも、そういう人は数学の面白さを教えてくれる先生に出会えなかっただけなんだと思うんです。
どうせ勉強するなら、面白がりながらやる方が絶対いいはずですから。
クラシックも同じで、佐渡さんのようにその面白さをちゃんと伝えてくれる人がいれば、もっと身近な存在になっていたかもしれません。
ランカシャースタイルレスリングみたいに「染みてくる」もの
クラシックは、古いものを大切にしつつ新しい解釈も生まれる「温故知新」という四字熟語がしっくりくる音楽です。
本場がヨーロッパということもあり、ふと思い出したのがランカシャースタイルレスリングです。
キャッチ・アズ・キャッチ・キャンもそうですね。
子供の頃、ランカシャースタイルのレスラーがたまにいましたが、どうも好きになれなかったんです。
でも、プロレスファンとして熟成した今、その味わいがよくわかるようになりました。
今では、時間を忘れて観てしまいます。
きっとクラシックという音楽もまた、ある程度の年齢を重ねることで、じわじわと魅力が染み込んでくるものなんじゃないか。
この本を読んで、そう感じました。
ボクは若い頃、歴史が大嫌いでした。
「昔のことは振り返らないタイプなので…」なんて言ってました。
ところが、40歳を超えたあたりから、大河ドラマが急に面白く感じるようになったんです。
気になって自分でも色々と調べるようになりました。
クラシックも、この感覚と似ているのかもしれません。
クラシックを楽しむには、その楽曲にまつわるエピソードや作曲家のエピソード、そして曲が生まれた背景や国の歴史を知っていると、より一層深く味わえるそうです。
まずある程度の知識を入れておくと、かなり面白がれる音楽なんだなと、この本を読んで再認識しました。
結局、音楽の想いはみんな同じなのかもしれない
ボクは普段、ロックと歌謡曲しか聴きませんが、ロックの何が良いかというと、やっぱりその「熱さ」だと思います。
「音楽で世界を変えるんだ!」という熱量が、ロックにはあるじゃないですか。
もちろん、大抵の音楽にはそういう熱さがあると思いますが。
何にも縛られず、社会や世の中に対して、今の自分をぶつけていく感じに憧れがあって、ロックを聴いている間だけでも「自分も世間と戦っているんだ」という気持ちになれるところが心地良いんです。
一方、クラシックは、昔の作曲家が作ったルールをキチンと守って演奏するという、正反対の音楽だと思っていました。
そこに自分を出すとか、社会への不満や怒りといったネガティブなエネルギーをぶち込んではいけない、そんなイメージでした。
ところが、この本の中で、佐渡さんは「音楽で世界を変えたい」というようなことを書かれているんです。
もちろん、ロックのような勢いに任せた感じではありません。
癒やしや安らぎ、ロックの開放感とは逆に、優しさで包み込み、「みんな仲間だよ」というような、気づいたらポカポカ温まるようなもので世界を変えようとしている印象でした。
ロックが直火で熱くするのに対して、クラシックは足湯のような感じでしょうか。
どちらも「体が温まる」という点は同じです。
結局、音楽のジャンルに関わらず、「世界をもっと良いものにしたい」という想いは、音楽を作っている人みんな同じなのかもしれません。
そう考えると、クラシックに対する抵抗感は、かなり薄れてきます。
本書は、曲名や作曲家の名前を知らないボクでも、読めば読むほどクラシックを聴きたくなる、そんな本でした。
少なくともボクにとって、クラシックはかなり身近な存在になりました。
まとめ
クラシックに興味がないボクでも楽しめる一冊でした。
クラシックってちょっと難しそう…と思っている人にこそ、ぜひ読んでみてほしいです。
この記事を読んで少しでも興味を持ったら、ぜひ手にとってみてください!
※この本は2025年9月1日現在、電子書籍版も購入可能です。
それではまた。
ありがとう!
