元気ですか〜！？
どうも、ろけねおです。
今回読みました本はこちらでございます。
完本 1976年のアントニオ猪木
アントニオ猪木さんというプロレス界のカリスマが、本書を通じて丸裸にされたような気がしました。
知らなくてもよかった事実を知ってしまったような、面白いような面白くないような、そんな複雑な感想が頭を巡ります。
柳澤健さんの本を読むのはこれで2冊目ですが、資料を調べ、関係者に取材をして事実を積み上げているのは確か。
ただ、文章の端々に「プロレスを貶めたい」「猪木さんの神話を壊したい」「プロレスファンの目を覚まさせたい」といった意図が感じられるのが気になります。
プロレスファンとしては、正直読んでいて気分のいいものではありませんでした。
1976年の4試合を徹底分析
本書は、1976年に行われた猪木さんの4つの試合——ウィリエム・ルスカ戦、モハメド・アリ戦、パク・ソンナン戦、アクラム・ペールワン戦——を分析し、猪木さんという人物に迫っています。
猪木さん本人からの証言は得られず、あくまで著者が集めた資料をもとに構築した内容ですが、それでも説得力はありました。
ただ、タイトルが『1976年のアントニオ猪木』なのに、試合の経緯や対戦相手の背景に多くのページが割かれ、猪木さん本人の話が意外と少ないのが残念。
対戦相手のことを知ることで猪木さんの姿が浮かび上がる部分もありますが、「いや、もっと猪木さんの話を読ませてくれよ！」と思うこともしばしばでした。
プロレスは真剣勝負か？
本書では、プロレスが「リアルファイトではない」ことを明確に描いています。
もちろん、プロレスファンならある程度理解していることですが、ここまでズバッと書かれると「それを言っちゃあおしまいよ…」という気持ちになります。
ミスター高橋さんの本を読んだときと同じで、「身も蓋もないなぁ」と感じてしまいました。
本書にもミスター高橋さんの証言が頻繁に出てくるのですが、「この人、本当にペラペラ喋りすぎだろ…」と少しイラっとしました。
やっぱり前田日明さんが気に入らない？
終盤では、高田延彦 vs ヒクソン・グレイシー戦あたりまでの総合格闘技の流れにも触れています。
当然、佐山聡さん、前田日明さん、高田延彦さんといった名前が登場しますが、読んでいて「この著者、前田さんのこと気に入らないんだろうな…」と感じました。
前田さんのことをもっと深く掘り下げた本も書いてほしいですが、おそらく「悪意」が見え隠れするんでしょうね。
前田さんが好きなボクとしては、ちょっとモヤモヤしました。
プロレスは結果がすべてじゃない！
猪木さんの1976年の試合を追う本かと思いきや、なぜか最後に伝説の「10.9 新日本プロレス vs UWFインターナショナル全面対抗戦」の話が出てきます。
著者の知人が試合前に対戦カードを見て、ボールペンで勝敗予想をつけたら、そのままの結果だった──つまり、試合結果が事前に決まっていたという話です。
それを知って著者は、
「プロレスとは、これほど味気なく、つまらないものだったのか」
と思ったそうですが、プロレスは、勝敗がすべてじゃないんです。
例えば「10.9」の長州力 vs 安生洋二戦。
大方の予想では長州さんが勝つのはわかっていました。
でも、「長州さんがどんな勝ち方をするのか？」という部分にこそ、ワクワクがあるんです。
ボク自身「10.9」のときは深夜に週刊プロレスのテレフォンサービスで結果を知りました。
メインの武藤敬司 vs 高田延彦の試合が「16分16秒、四の字固めで武藤敬司の勝ち」と聞いたとき、衝撃を受けました。
UWF系の選手が絶対にかからないと思われた技で高田さんが負けたんです。
でも、それで「プロレスはつまらない」とは思いませんでした。
「一体どんな試合だったんだ？」と気になって、何度も何度も試合を見返したものです。
何が「味気ない」だ、ボケー！
噛めば噛むほど味が出るのがプロレスなんじゃい！
それでもプロレスが好きか？
本書は、プロレスの舞台裏を赤裸々に描いた一冊。
ただ、プロレスを愛する人が書いたものではないな、と感じました。
しかし、それでもボクはプロレスが好きです！
こんなに面白いものを面白がれないなんて、逆に気の毒です。
それではまた。
ありがとう！
