好き勝手なことを書いておりますが、悪意はありませんのでご了承下さい。

【読書感想文】『きいろいゾウ』西加奈子

元気ですか〜!?

どうも、ろけねおです。

今回はこちらの本を読みました。

きいろいゾウ

結論から言うとメチャクチャ面白かったです。

スゴく分厚い本で、読む前から読破はムリかもしれないなあと思わせる迫力がありました。

ところが読み出してみるとグイグイと物語に引き込まれていきまして、本の分厚さを忘れさせる勢いでした。 

結婚して良かったなと思わせる物語

声だして笑うというような面白さでなく、ジワジワ来る面白さ、そして感動がたくさんありました。 

未婚者も既婚者も一緒になって結婚について話すことがあると、既婚者は未婚者に「君もいい年なんだから、そろそろ結婚しないとね」的なことを言い出す人が必ずいます。

そうすると他の既婚者たちは「そうだ、そうだ」と同調するのものですが、そういう時ボクは全く同調しません。

「自分が結婚しておきながらいうのもなんですけども、結婚はしてもしなくてもどっちでもいいと思う」と言います。

これが本心ですし。

自分に子供がいないのもありますが、結婚することで何かが変わった気がしてないのでそう思っていたのです。

でもこれを読んで、自分でも気づかぬうちに結婚の妙味?を味わっていたのかもしれないな〜と考えさせられました。

この物語の主人公はムコとツマという夫婦です。

この二人の距離感であったり、会話であったり、空気感であったりというのは、夫婦でないと実感できないもののように感じました。

結婚してこそわかる、恋人同士とは明らかに違う何か。

それが何かと聞かれても具体的に何と答えることが出来ないのですが、とにかくその何かがこの本の中にあって、かゆいところに手が届いているような感覚がず〜っとありました。

それがエラく心地良かったです。

結婚したからといって特に何か変わったわけではないと思っていたのは、結婚したら劇的に何かが変わるんじゃないかと期待していたからではなかったか。

実は少しずつ少しずつ恋人同士から夫婦にシフトしていたことに、全く気がついてなかったのでしょう。

ムコとツマの二人に触れることで、今の自分が夫婦を形成したことにやっと気がついたのです。

婚姻届を出した瞬間に法律上では夫婦ですが、夫婦の空気感になるのはすぐではないのです。

振り向けば、いつの間にか夫婦になっていたという感じです。

そして、それが結婚してよかったな〜という気持ちにさせるのでした。

何が良かったのかは、言葉に出来ないんですが。

田舎に暮らしてみたい

主人公は田舎に暮らしています。

老後に田舎暮らしを満喫するスタイルの夫婦も観ますが、少しも憧れませんし、むしろ年を取ったらより都会で暮らしたい派です。

生まれてからずっと、都会ではないけども、田舎でもないという中途半端なところに住んでまして、しっかりとした田舎に住んだことがないので田舎のことは何も知りません。

だから、田舎のことを知りたいという気持ちが心のどこかにありました。

これを読んで田舎で暮らすのも悪くない、いや暮らしてみたい、と少しだけ思うようになりました。

永住というのはさすがにムリなので、できれば年に3ヶ月かは田舎に住んで、残りを都会で住むというのがベストだな〜と、結構具体的に考えてしまいました。 

また、主人公たちは少し古い家に住んでいます。

それもまた、そういう家に住むのも良いな〜と思わせました。

古民家に住んでみたいとか、平屋に住んでみたいとか、縁側がある家に住んでみたいとか、そういう気持ちはあったのですが、具体的に探したことはありません。

それはどこかおとぎ話のような、現実には不便しかない暮らしになるんじゃないかと恐れていました。

でも、これを読んでいると不便もまた味わいとして捉えられそうな気がしてきます。

不便だからこそ楽しいと感じられるかもしれないと思えるようになりました。 

※本当に不便な中で暮らしているからすれば、何をトチ狂っとんねん、アホかと思われるでしょうね。

ま、ネットさえ繋がっていれば、そんなに不便じゃないかも知れませんし。

実はなくてもそんなに困らないものまで今は揃っていて、それがないと困るんじゃないかという幻想を抱いているだけのような気がします。

片付けが苦手で片付けの本を読んでは少し片付けて、少しスッキリした気分になるけども、また元通りにモノをあふれさせています。 

一度、そうはカンタンにモノが手に入らない暮らしをすることで自分にとって本当に必要なものが見えてくるのかもな〜と考えさせられました。

人間も自然の一部である

モッツァレラ・バッカ、ほうじ茶など、これに出てくる食べ物は全部おいしそうです。

また、ここに出てくるすべての動物が愛くるしいです。

食べ物は自分たちで作ったり、近所の人が作ったものをいただいたりして集まってきて、生き物たちは主人公たちが来る前からそこにいたいわば田舎暮らしの先輩です。

ボクは、草が生えてたり虫が飛んでることを普段の生活から排除しようとしてます。

除草剤を散布したり、殺虫剤を噴射したりします。

元からそこにあったものを力づくで自分たちの居場所に変えていくような生活をしています。 

でも、主人公たちはそうはせずに、元からあったものの中に溶け込む生活を選んでいます。

人間が生き物の頂点に君臨しているとは全然思っていないのです。

普段からヒエラルキーの頂点であると意識しては暮らしていないのですが、自分のやってきたことは自然に対してふんぞり返って暮らしてきたのかもしれないと思わせました。 

虫が嫌いだから、虫と馴染む生活というのはなかなかしんどいでしょうけども、主人公たちのように暮せば、気持ちも優しくなって、穏やかにのんびりと生きていけそうな気がします。

自分が自然の風景の中に無理矢理押し込んで入り込んだ異物ではなく、自分もまた自然の一部であるという生き方に憧れを持ちました。

周りの人たちよりはずいぶんのんびりと暮らしてますけども、更にのんびり生きたいと思わせます。

前半と後半がテイストが全然違ってまして、どんどん読むのがツラくなってきます。

それは知らなくてもいいことなんじゃないかということまで知ってしまいます。

でも、ガマンして読んだら最後はホッとしまして、気持ちのいい読み終わりでした。

あのガマンが開放感を生むのでツラくても読み進めましょう。 

この本を読んでから映画版を観ました。

分厚い小説をギュッとしてあるのでいろいろ省略されていますが、この映像を見たおかげで、この小説に色がついた気がします。

演じてる方はちょっとイメージとは違いましたけど、大きくはハズレてはいないと思いましたので、不快感はないです。 

小説を読み、映画を観ていただくと、どっぷりこの世界に入れます。

オススメです。

それではまた。

ありがとう!

最新情報をチェックしよう!
>本を読み、ときどき映画を観て、たまに音楽を聴いてます

本を読み、ときどき映画を観て、たまに音楽を聴いてます

CTR IMG